5 / 15
第5話 利人視点
昼。
俺は、次の授業をサボって、いつもの寝床に来たんだが、、、、、。
「誰?こいつ」
隅っこで、スヤスヤと寝ているジャージ姿の男。
サラサラの茶髪に、綺麗な白い肌、女子みたいに小さい体。
隅っこで丸まって、猫みたいに寝ている。
何か、、、、かわいい。
俺は、そろっと頭を撫でる。気持ち良さそうに寝て、起きる気配が全くない。
「お、、、、かぁ、、、、さ」
っと、思ったら、眉間にしわをよせて急にうめき始めた。
何かを求める用に、細い腕を上に上げている。
ちょー、苦しそう。
彼の額から汗が出ている。俺は、その手をそっと握った。昔、母によくやって貰ったように、背中を優しくさする。
しばらくすると、落ち着いて穏やかな眠りに入った。
本当に、この子は誰なんだか、、、、。
ピコンっ!
スマホに通知がきて、画面を見るとまたあの「さき」という女からメッセージがきていた。
この女、懲りねぇな。授業中だろ。
まぁ、俺も今サボってるんだが。
俺は手を繋いだままスマホをいじった。
そう言えば、この「さき」って子ともう一人女の子が前いたっけか。
あの子、全然楽しくなさそうなのに、無理にぶりっこしててすっごい嫌だったんだよな。
あの後、裏の顔が見えた瞬間、つい、
「お前、ブサイクだな」
と、言ってしまった。
彼女はフルフルと震えたままだった。まぁ、本当のこといっただけだし、、、、。あの怒りを抑えた顔は傑作だったな。
あ!そうだ。
俺は、スマホをカメラモードにして、俺の手を握って眠っている彼の顔を一枚撮った。
お気に入りっと。
そうしていると、チャイムの音が鳴った。俺は握る手をそっと離す。
今日はやけに時間が過ぎるのが早い。
「また会おうね。俺の猫ちゃん」
と言い、彼の綺麗な額に軽く口付けをする。
どうやら、俺はこの子の事を気に入ってしまったらしい。
ともだちにシェアしよう!