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第6話
「あっづい~…」
日差しの強い、7月。
「はい、じゃあ測定やるぞー。」
「はーい」
上半身裸の男子がうじゃうじゃ。
女子が見たい、、、、。
体育の水泳の授業。俺はプールサイドにある、ベンチに座って見学していた。もちろん、女装姿で。
女子は体育館でバトミントンの授業をしている。
紫外線に当たりたくない俺は、長袖のジャージを着ていた。
分かってはいたが、クソ暑い。
目の前で、気持ち良さそうにプールではしゃいでいる男子を見て、俺は深いため息をつく。
訳あって俺は水泳に参加することができない。紫外線に当たりたくない俺にとってありがたいことなのだが。なのだが、、、、、、。
少し、羨ましいという気持ちも無くもない。
「日谷ー!測定手伝ってくれー!」
体育教師に呼ばれ、重たい腰を上げる。ボードと紙をもらい、俺は記録を始めた。
「もう測定してない奴はいないな。よし、じゃあ自由!」
男子が、急激にテンションが上がり騒ぎ始める。俺は、やっと終わったと思いながら、先生に記録用紙を渡そうとした。
「先生、記録用紙、うわっ!」
後ろから衝撃を受け、体がバランスを崩す。
ヤバイ!
と思った時には、目の前が真っ白だった。バッシャーンという音がプールに響く。俺は、プールに落っこちたのだ。服のせいで体が重りのように重い。足がつかない。
俺は、パニックになったが、すぐに体育教師によって救出された。
「大丈夫か?日谷」
俺は、うつ向きながら息を整えた。
「先生。」
「なんだ?」
「ほ、保健室行ってきますううううううううう!」
「え!?」
俺は、全力ダッシュで男子トイレに向かった。後ろから、体育教師が俺の名前を呼んだが、無視した。
鏡を見ると、やはり見覚えのある酷い顔があった。とりあえず、目が痛いので、カラコンを外す。
最悪だ、、、、、。
顔を痛いくらいに水で洗いまくった。カツラもびしょぬれ、、、、。
俺はトイレから外に出た。
「へっくしゅ」
これじゃ、風邪をひいてしまう。俺は保健室に向かった。
廊下を歩いていると、自分の違和感に気づいた。
頭がれがんがん音が響いて変な感じがする。
歩いてるよな?俺、。。
歩いてる感覚がしない、進んでいるのかも分からなくなってきた。
視界も暗くなって、フワッとした感覚と共に俺は崩れ落ちた。
「うお。」
と思ったら誰かにぶつかったらしい。
「ご、め、、」
話すだけで息が荒いのが分かった。あまりの体の熱さに俺は見知らぬ誰かに体を預けたまま、意識を失ってしまった。
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