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第7話
「う、う~ん、、、」
もう、朝か。
と、思って周りを見ると、俺の部屋ではなかった。
白いカーテンでおおわれている。
保健室か?
何故か服が冷たい。シーツもびしょ濡れだ。
俺、何してたんだっけ。
今だに頭の痛みが残っていて頭を使う気力がない。
体を動かすとコツンと手に何かが当たった。
「ん?、、、、、、、、、ん!」
そこには、この前俺をブス呼ばわりした黒髪男が隣で寝ていた。
何で!?
寝ている顔は実に綺麗である。
なんか、見てると腹立ってくるな。
パイプ椅子に座りながら、ベッドに上半身を置いて寝ている。
俺は、起こさないようにベッドから降りた。
とりあえず、逃げよう。
保健室の先生はいない。俺は静かに保健室のドアを閉めて職員室に向かった。
須美先生を呼ぶとドン引きと分かりやすい顔で俺を見た。
「お前、、。何やったんだ?」
そう聞かれても、仕方ない。
だって、俺は今、全身びしょ濡れ状態なのだから。
「いや、何て言うか。わかんないだけど、、。起きたら、保健室で、、、。隣になんか知らんけど、モテ男がいて、、、、、。」
「うん、分からん。」
話していると、体育教師が須美先生に話しかけてきた。
「須美先生。さっき、日谷がプールに落ちてしまって、、、、。って、どうしたんですか?その生徒」
体育教師が、目を丸くして俺の方を見た。
あ!そうだ、俺、誰かとぶつかってプールから落ちたんだ!
そう思い出すと、目の前で須美先生が笑いをこらえていた。
こいつ、、、、。
「えー、っと、その子が、ぷ、プールに落ちた日谷です、ふ、ふふ」
須美先生は、手をこちらに向けて、笑いをこらえながら、俺を紹介した。
「え!?お前、日谷、なのか?」
「そんなことより須美先生。家まで送って下さい。」
「は?陽一は?」
「出張。ちなみに、大阪」
俺達は、口をあんぐりと開けている体育教師を置いて、会話の続きを始めた。
いちいち反応していても面倒くさい。
「はぁぁぁぁ」
須美先生はため息をつきながら、片手に持っていたファイルを見て、保健の先生に話しかけた。
「お前、本当に日谷なのか?」
体育教師が、こそっと話しかけてきた。
「そうですけど?別に、誰だってメイクとりゃブスですよ?」
「いや、ブスではないと思うが、、、」
「おら、日谷。準備しろ。送ってやる。」
俺は、何やら考え込んでいる体育教師を置いて準備をした。教室は幸い移動教室で誰もいなかった。
駐車場にいくと、もう須美先生が準備していた。着替えたので、もうジャージは冷たくない。
黒い軽自動車の後部座席に俺は乗った。須美先生は、運転しながら、俺に話しかけてきた。
「んで、頭痛いの?」
「ああ。しょーじき、落っこちた後、頭は痛くなるは、体は熱くなるは、えらかったわ」
「へー、よく保健室までたどり着けたな」
「え?」
「いや、フツーそんな状態ならぶっ倒れてもおかしくないだろ」
それはそうだ。
俺、何で保健室にいけたんだ?
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