7 / 15

第7話

「う、う~ん、、、」 もう、朝か。 と、思って周りを見ると、俺の部屋ではなかった。 白いカーテンでおおわれている。 保健室か? 何故か服が冷たい。シーツもびしょ濡れだ。 俺、何してたんだっけ。 今だに頭の痛みが残っていて頭を使う気力がない。 体を動かすとコツンと手に何かが当たった。 「ん?、、、、、、、、、ん!」 そこには、この前俺をブス呼ばわりした黒髪男が隣で寝ていた。 何で!? 寝ている顔は実に綺麗である。 なんか、見てると腹立ってくるな。 パイプ椅子に座りながら、ベッドに上半身を置いて寝ている。 俺は、起こさないようにベッドから降りた。 とりあえず、逃げよう。 保健室の先生はいない。俺は静かに保健室のドアを閉めて職員室に向かった。 須美先生を呼ぶとドン引きと分かりやすい顔で俺を見た。 「お前、、。何やったんだ?」 そう聞かれても、仕方ない。 だって、俺は今、全身びしょ濡れ状態なのだから。 「いや、何て言うか。わかんないだけど、、。起きたら、保健室で、、、。隣になんか知らんけど、モテ男がいて、、、、、。」 「うん、分からん。」 話していると、体育教師が須美先生に話しかけてきた。 「須美先生。さっき、日谷がプールに落ちてしまって、、、、。って、どうしたんですか?その生徒」 体育教師が、目を丸くして俺の方を見た。 あ!そうだ、俺、誰かとぶつかってプールから落ちたんだ! そう思い出すと、目の前で須美先生が笑いをこらえていた。 こいつ、、、、。 「えー、っと、その子が、ぷ、プールに落ちた日谷です、ふ、ふふ」 須美先生は、手をこちらに向けて、笑いをこらえながら、俺を紹介した。 「え!?お前、日谷、なのか?」 「そんなことより須美先生。家まで送って下さい。」 「は?陽一は?」 「出張。ちなみに、大阪」 俺達は、口をあんぐりと開けている体育教師を置いて、会話の続きを始めた。 いちいち反応していても面倒くさい。 「はぁぁぁぁ」 須美先生はため息をつきながら、片手に持っていたファイルを見て、保健の先生に話しかけた。 「お前、本当に日谷なのか?」 体育教師が、こそっと話しかけてきた。 「そうですけど?別に、誰だってメイクとりゃブスですよ?」 「いや、ブスではないと思うが、、、」 「おら、日谷。準備しろ。送ってやる。」 俺は、何やら考え込んでいる体育教師を置いて準備をした。教室は幸い移動教室で誰もいなかった。 駐車場にいくと、もう須美先生が準備していた。着替えたので、もうジャージは冷たくない。 黒い軽自動車の後部座席に俺は乗った。須美先生は、運転しながら、俺に話しかけてきた。 「んで、頭痛いの?」 「ああ。しょーじき、落っこちた後、頭は痛くなるは、体は熱くなるは、えらかったわ」 「へー、よく保健室までたどり着けたな」 「え?」 「いや、フツーそんな状態ならぶっ倒れてもおかしくないだろ」 それはそうだ。 俺、何で保健室にいけたんだ?

ともだちにシェアしよう!