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第12話
夏休み。
学校であのモテ男に絡まれると警戒したが、無事一学期を終えられて一安心だ。
公園の噴水の前。デートの待ち合わせで定番スポット。
夏休みは、週4でバイトが入っている。女の子と遊ぶのは楽しいが貯金が減るとアニメのグッズや服が買えないので、少し控えていた。
しかし、折角の夏休みなので、女の子と遊ぶ約束をした。夏休みは、遊ばなきゃ勿体ない。
膝上までの丈の白のレーススカートに、上は黄緑と白のボーダー柄の肩を出したトップスにレモン色のヒール、黒髪は耳にかけてイヤリングがみえるようにした。
全体的にビタミンカラーを使ったコーディネートだ。
今日の俺もバッチリ可愛い!と言うかもうモデル並みじゃね。とウキウキ気分で家を出てきた。
そろそろ待ち合わせ時間になるな。俺は、腕時計を確認する。そして、スマホを見た。
LIMEに、デート相手のらんちゃんから一件通知が来ていた。トーク画面を開くと、
『ごめん(><)熱出して、今日はデート行けないくなっちゃった。』
と、ドタキャンのメッセージがきていた。
は?
俺は、その場で固まった。折角この日の為に新しい服を買ったのに、水の泡、、、。
俺は、唇を噛みながら、画面を動かす指を動かした。
『OK!全然大丈夫(・ω・)♭じゃあ、また今度遊ぼうね(#><#)♪お大事に!』
送信ボタンを押して、俺は溜め息をつく。
女ってのは、どうしてこーにも、めんどくせぇ奴らばっかなんだか。
俺は、スマホの画面を睨み付けながら、帰りの電車の時間を調べた。
「あれ?日谷?」
横から声が聞こえ、顔を向ける。そこには、「熱血」とかかれたダッサイTシャツに、だぼだぼのズボンをはいた黒髪短髪の、男がいた。
まず、頭に浮かんだ言葉。
誰だ?こいつ。
「えーと、そうだよ!」
「あー!やっぱな。雰囲気違うけど、目と黒髪で分かったわ。」
目と黒髪で判断したのかよ。別人だったらどうしてたんだ、こいつ。
よく見るとクラスにこんな奴いた気がする。名前は知らんけど。
「突然やけどさ!今日、暇?」
「ごめーん!ぼく、今から用事があって~」
「え?でも、飯田らんとのデート無くなったんやろ?」
「な、なんでそれを。」
「あー、何か学校で話しとるの聞いちゃって。でも、待ち合わせの時間とっくに過ぎとるからそうかなーって、て事で、遊ぼう!」
「え!?ちょ」
彼は、俺の腕をグイっと引っ張って走り出した。俺は、良いとは言ってないんだが!?
しかも、こんなダサ男と一緒にいるところ見られたら、絶対笑われるに決まっている。
「と、止まって~!」
止めようと声を掛けても、聞こえてないようだ。出会って数分で分かった、こいつアホだ。
そうして、走って行き着いた場所は、ゲーセンだった。着いた頃には、息がゼエゼエ上がったいた。
「大丈夫か?日谷」
彼、いやアホは、息すら上がっていない。化け物かよ、こいつ。
「ハァ、大丈夫なわけ、な、いだろ、いきなり、連れだし、ハァ、やがって、クソが」
「お、それが素か?」
しまった、と思い口を塞いでももう遅い。自分でも分かるくらい完全に素だった。
しかし、相手はバカだ。小賢しいことはしないだろう。そう判断した俺は素のままにいくことにした。
「そうだよ。てか、お前誰だよ!」
「えぇー。ひっど!俺なー、岩野 信長!お前のクラスメートやで!」
「知らないし。」
「まぁまぁ、そんなピリピリせんと、ほら!あれ遊ぼ!」
「て、引っ張んな!」
岩野は、リズムゲームのゲーム台に向かって一直線に走り出した。
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