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第9話
「やっと帰ってきた」と、教室に入り席に座ると第一声が悠のそれだった
それとやけに周りの視線が痛い
「つい爆睡してしまいまして」
これは本当で、2講目に軽い睡眠をしようとして起きたら昼休み終わりの五分前だった
「全く、何考えてんのさ。そう言えば、昼に会長様が颯翔の事探しに教室に来たよ」
____会長様?
「会長様て生徒会長様?」
「他に誰がいるんだよ」
待って、俺何かした?
「何処で会長様と接点持ったのさ」
「知らん」
本当に知らん。命を掛けても良いだろう
だから、教室に入った時の視線が痛かったのか
「で、悠君はその会長様に何て言ったんだい?」
てか何故会長に大層に様付けしてんだよ
「生理痛でどっかのトイレに篭ってますって」
「馬鹿ーー!!」
思ったより裏返った声が出た。若干喉が痛い
何その言い訳!思春期の中坊か!!
「任せて!掘りっちにもそう言っといたから!」
掘りっちとは、体育教師の堀田の事である
「何が任せてじゃ!何つー言い訳してんだよ」
「いてっ」
俺より低い位置にある頭に渾身のチョップを噛ました
「え、何を今更。颯翔が体育を欠席する時は大抵そう言ってるよ。掘りっちなんて、またかハイハイって言ってたよ」
ニコニコ言ってる悠を見て、俺は頭から灰になる感じがした
もうヤダこの子!悪魔が過ぎる!!
「キモイよ?」
顔を両手で覆い泣くふりをしたら、小悪魔は真顔でそんな事を言った
そっからは、生理痛の事で頭がいっぱいになり、授業は呆然と過した
英文音読の時に当てられ、当てられた事に気付かなかった俺は教師に頭を背表紙でチョップされ、科学の実験では転んでビーカーを割ったり散々だった
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