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第7話 文化祭二日目①

文化祭二日目、天候はあいにくの雨だった。 そのため、お客さんの人数は少なめだ。 しかし廊下が濡れて滑りやすくなるため、文化祭委員は床拭きの仕事が増えた。 「はぁ~、なぁんで土足オッケーにしちゃうかねぇ」 五月がモップに顎を乗せながらため息をついた。 「毎年ビニールのシート引いて対応してるから、今さら変えられないだろ。ほら、あっち拭きにいくぞ」 進はモップを片手に持ち奥の廊下を指差した。 「見回り二時間だけだったのが、プラス床拭き一時間になっちゃったじゃん、今日は色々食べようと思ってたのに!」 「終わる頃には昼時終わって空くだろ?」 「進ちゃん甘いね~、昼時終わる頃には旨い店はだいたい売り切れだよ、文化祭なんてそんなに材料用意してるわけないんだから」 「あぁ、そっか・・」 「床拭きながら何か買っちゃだめかな~」 「ダメだろ・・」 そんな話をしながら二人でせっせと濡れてる場所を探して床を拭いて回る。 進はぶつくさ文句を言いながらも楽しそうにしている五月を見つめた。 昨日、五月から今日話があると言われている。 しかもその内容は楽しいものではないようだ。 なのに今の五月はニコニコと笑っている。 まるで、今この瞬間を楽しんでおかなければいけないと思っているように。 やっぱり、何か別れの、もしくは終わりの話だろうか。 思い当たるのはただ一つ。 自分達の友達以上の行為について。 ただの友達に戻ろうか。 それとも、そもそも友達であることもやめて他人に戻ろうか。 そういう話なのではと予想してみる。 クラスは違うので、こうやって会う予定を作らなければそれほど接点はない。 他人に戻るのは簡単だろう・・ 進は心の隅にある自分勝手な気持ちを打ち消すため、平常心でいるようにつとめようとした。

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