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第7話 文化祭二日目⑤

進と清瀬が保健室に行くと言ってから一時間以上たった。 五月は自分のクラスで友人達と談笑しながら時間を過ごしていた。 五月のクラスはお好み焼き屋だが、もうほとんど残っていない。 大盛況だったようでひと安心だ。 五月は友人と話ながらも時々手に持ったスマホに目を落とす。 しかしなんの音沙汰もない。 進は今どこに居るのだろう・・ 『モップを返しておいた』という連絡をしたら、進からは短い返信がきた。 『ありがとう、どれくらいかかるかわからないから五月は自由に見て回ってて、ごめん。』 その文面を見て五月はため息をついた。 本当なら今日も昨日と同様に一緒に見て回る予定だった。 文化祭を思いきり楽しんで、すべてが終わった後、進に自分の気持ちを打ち明けるつもりでいた。 しかしそれは、難しいかもしれない。 なんとなくそんな予感がしていた。 「五月・・」 突然教室の外の方から名前を呼ばれ、五月はハッとして顔をあげた。 教室の扉の前に進が1人で立っていた。 五月は少し安心した。 隣に清瀬の姿があるのではと思ったからだ。 「進ちゃん、清瀬君大丈夫だった?」 五月は進の近くまで行くと、進の顔を覗き込んで聞いた。 「うん、ごめんな、係りの仕事途中で抜けて」 進は少しうつ向いたまま答える。 「ぜーんぜん!もうほとんど終わりだったし!それより、今から見て回れる?」 五月が聞くと、進は掌をギュッと握りしめながら顔をあげて言った。 「五月、今ちょっと話がある。いい?」 進の瞳は少し不安そうに揺れている。 五月は顔は笑ったままだったが、心にズンと何かがのしかかったような気持ちになった。 「その話、今すぐのほうがいい?文化祭終わってからじゃダメ?」 五月は明るい声色で言った。 「・・今、がいい・・ごめん・・」 進は小さな声で言った。 「うーん・・そっか。じゃあさ、とりあえず体育館には行っていい?軽音楽部がやるんだ、俺今日も聞きに行くって約束しててさ」 「・・わかった。じゃぁ、軽音楽部の聞いてから・・」 進は暗い表情をしたまま答えた。 これは、不安的中かもしれない。 五月はそう思ったが、それでも今を繋ぎ止めたかった。 ほんの少しだけでも・・

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