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第2話

清高の両親は、この団地から車で一時間ほどの場所に住んでいる。 二人とも一人息子の清高がゲイセクシャルである事を理解していて、結婚の承諾を得に行った時も特に驚かれたりはしなかった。 かといって穂と義両親が特別親しいというわけでもなく、会うのは年に多くて二回程度。 清高の仕事の都合上、正月を過ぎた頃に二人揃って新年の挨拶に行くくらいで頻繁に連絡を取ったり往き来しているわけでもない。 しかし、今年は義母が友達数人と年末から年始にかけて温泉旅行に行く事になったらしい。 一人きりになる義父を心配した義母から清高にどうにかならないかと連絡があったのだ。 ちょうど穂も年越しは一人。 しかも家事全般できる。 縋るような清高の顔と義母の頼みにNOとも言えず…今年の年末年始は義父と一緒に過ごす事になったのだ。 正直、義父と二人きり何を話していいかどんな対応をすればいいかわからない。 紙面上は家族であるが、まだどう接していいかどこまで踏み込んでいいか、距離感がイマイチ掴めていないのだ。 頻繁に会っていなかったせいでもあるのだが、何より穂自身が自分が一般的な『嫁』とは違う事に対してどこかで臆してしまっていたせいでもある。 けれど、これは互いの距離を縮めるのにいい機会でもあると穂は思っていた。 好きな人を生み、育ててくれた親だ。 仲良くしたいし、何より清高のパートナーとしてきちんと認めてもらいたい。 「親父の面倒までみさせちゃって本当にごめんな」 出かける準備を済ませた清高が再び謝ってきた。 暗く沈む清高の頬を柔らかくつねって、穂はニコリと笑ってみせる。 「迷惑とか全然思ってないから大丈夫だって。 それに清高を育ててくれた人だよ?僕にとって大事な人に変わりはないんだから」 「穂…本当にありがとな」 眩しげに目を細めた清高の温度に包まれて、穂もその背中に腕を回した。 今度この温もりを感じることができるのは年が明けた来年。 そう思うと離れ難くなってきてしまう。 強請るように顔を上げると、清高も同じことを考えていたのかこちらを見下ろしていた瞳と視線が絡む。 しかしあと数センチで唇が触れるというところで玄関のチャイムが鳴った。 「」 清高の軽口に同じ表情で顔を見合わせると、客人(義父)を迎えるために玄関へと向かったのだった。 しかしその数時間後… 「さぁ、穂。君の名前の通り、僕たちの愛の形を実らせようじゃないか。ここに、僕の子種をたくさん注いであげるよからしっかり受け止めて受精するんだ、いいね?」 ひっきりなしに上下する穂の腹を節張った手の平で撫でながら、頭上で義父がうっそりと笑っている。 「いや!!!お義父さんっ…中は…っ中はダメです!!」 穂は必死に首を振ると、ボロボロと泣きながら訴えていた。

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