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レビュー (3)
ただ少し読もうと思っただけなのに気がついたらレビュー書いてた物語
現在未完結ですが、作者さんへこれからの活力に少しでもなればということと、多くの人に目に留めて頂きたく、ネタバレのないようにレビューをします! お話は留学生であるレオくんと、声の出せない浅見くんの二人が、雪の積もった朝の校庭で目が合ったところから始まります。 雪の上に文字を書いて、ひらがなだけの筆談。 二人の距離は縮まり始め、日常へ。 心が澄んでいく高校生モノで、ほのぼのとした穏やかな日常。 美しい言葉と表現が浅見くんの幼い情緒により、読みやすく仕上がり、テンポもよくて、スルリと脳に入ってきます。 身構えないで、数ページ読んでみたら、私は気づけば未完結だったというのに40話まで読んでいました(びっくらこいた) ところどころにコメディ要素も交えつつ作品の雰囲気を壊さない。全体のまとまりが美しい。カエデワールド全開です! なので是非!(必死) 個人的な意見だと、雪だるまが増えていて仲間を呼んだだとか、雪うさぎには自信があるだとか、表現がいちいちかわいい。 箇条書きのような感情表現の脳内もすこぶるかわいい。 間延びした言葉のカタカナを「ー」じゃなく「オ」で表現する(ストオブとかコオティングとか)もかわいい。 そんな彼だからこそ、レオくんを〝左の方から来た〟と表現するのが納得でした。作品の一行紹介を見て「どこや!?」となった木樫ですが、むしろ一貫していて素敵です。 レオくんも異国の人らしく直接的な言葉や愛情表現があって、浅見くんが言葉を話せないぶん伝える感情の量がちょうどよくて、和んでしまいました。 悲しいことがあると誰しも落ち込んでしまう。俯いて後ろを見るでしょう。 しかし一世一代、奮い立つ浅見くんは頑張る決心を振り絞る。最高です。あまりに尊い。 そしてサブキャラたちもいい味がある。もうネタバレになるのでいいませんが、とにかく最高でした。 楓先生が書かれるお話はいつも香りと空気を感じるのですが、雪どけの朝に、では音を感じました。 浅見くんが動くたび、コロンコロンと白い雪玉がスキップしているように思いました。雪玉なのでうまくバウンドできないでポテポテしているのですがそれもかわいい。そしてそれすら表現されている(私はなにを言っているんだ?) そんな素敵な作品。 良い時間をありがとうございました! 木樫
冬の花を見た時、きっと貴女はこの作品を思い出す。
本作品は、何らかの理由で喋ることができない高校生と、留学してきたから文字を読めない高校生の出会いから始まります。 喋ることができない主人公 ルカ君 は、ある日『おかしい』と気付きます。校舎裏の花壇にポツンと作っておいた雪だるま。その隣に、ちょっとイケメンちっくな雪だるまが増設されていたのです。驚きつつも、ルカ君は雪うさぎを増設します。雪だるまでは敵わないと思ったからです。 そうして雪うさぎを作った後、一人物陰に佇むルカ君を、ある人物が見掛けます。留学生の レオ君 です。 (レビュー文字数制限の都合上中略)ルカ君はレオ君に校舎裏に一人でいたのは君だよね? と声を掛けられます。しかし、上述の通りルカ君は喋ることができません。だからルカ君は、雪の上に文字を書きます(もうこの描写がエモい)。 しかしこれまた上述の通り、レオ君は文字を読めません。お互い落ち込みます(ここがまた可愛いと思ってしまった)。 しかしレオ君、文字を憶えます。平仮名なら読めると言い、ルカ君と会話しようと一生懸命です。ルカ君は平仮名で言葉を贈ります。レオ君は終始自分の思ったことを前面に出して声で返答します。私、喜怒哀楽のしっかりした子は大好きです。二人共一生懸命でとても可愛いです。 今まで【喋れない】というだけで人から避けられ人を避けたルカ君は、人と話すことの嬉しさや楽しさを知ります。喋れなくても会話はできる。文字って素晴らしいですよね。 二人はそうやって会話を重ねていくのですが……ある日事件が起きます。 このお話は、可愛さと尊さとエモさと作者様のもてうる表現技法を余すところなく書き連なれた、魅力的なお話です。 正直なお話、文字数を見たら『読むのに数日かかるな』と思いました。これはもう素直に書きます。 しかし、読み終えたのはわずか二日。正直一日で読み切れる。そのくらい、流れるように次ページのボタンをクリック(タップ)し、先へ先へ吸い込まれるお話でした。これも作者様の技量だと思います。 このお話はきっと、BL小説に限らず小説を読むのが好きな方なら誰しも好きになるお話だと思います。 素敵なお話をありがとうございました。
作者