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手紙
三日も休んでしまった僕を、レオはどんなふうに思っているんだろう。劇のことも気になった。決まってからすぐに休んでしまった僕は、とっくに姫役を降ろされているかもしれない。むしろ嬉しいけどね、それは。わりと強がりとかそういうやつではなく嬉しい。
レオのお姫さまになりたい人なんて両手で数えても足りないくらいいるに違いない。思い返してみれば結構失礼なことをしているから、レオはもう僕になんて愛想を尽かしたかもしれない。面倒くさい人だと思われたかもしれない。
遅かれ早かれそうなるはずだった。だから別にそれでいい。
でも……好きだと言われて、抱きしめられて、嬉しくなかったと言ったら嘘かもしれない。
三日ぶりの外は優しくも厳しくもない。三日間の天気は雪と雪と晴れ。今日は曇り空。午後からは雪が降るだろう。路面はすっかりつるつるだ。僕は慎重に、転ばないようにゆっくりと歩き出す。昨日晴れたのに雪は完全には溶けておらず、通学路は足跡だらけ。昨日雪が降っていなかったので当たり前だ。まっさらな雪の絨毯が恋しい。雪を踏む音が聞きたかったけど、溶けた雪が凍って餃子の皮みたいな音がする。それもまた楽しいからいいけど。
早朝の通学路はやっぱり誰も歩いていない。
この間レオがいた曲がり角に人影は無かった。僕はどうして彼の影を追っているのか自分でもなんとなく嫌な気分になりながら、どうってことないという思いを無理に生み出して曲がり角を通り過ぎる。
昨日顔を出した太陽が僕の作った雪だるまを溶かしていないか気になった。校舎裏で終日日蔭だし、おまけに椿の裏側にいるからきっと大丈夫だと思う。他の雪だるまは知らない。うさぎは小さいから溶けてしまったかもしれない。
そう思ったんだけど。
僕は遠目から花壇の縁を見て目を凝らす。擦って近づいたがやっぱり気のせいじゃない。
なぜか雪だるまが増えている。
三体。作られている材料は同じなのに、それぞれなぜか違う魅力がある。
僕の雪だるまもレオの雪だるまも無事だった。無事、というか、雪を付け足した跡がある。一度溶けかけたけど、誰かがまた雪を加えてくれたらしい。雪うさぎに至っては確実に一度溶けたようだった。形相が変わっているから。
見慣れない三体の雪だるまの下には、それぞれ透明なフィルムに入った紙が置いてあった。僕はなんだろう、と思って一番左のフィルムを取った。手紙だ。
なんとなく察してしまった自分が嫌。
白いシンプルな封筒の中身は、これまた白くて飾り気が無いがなんとなく上品な紙質の便箋だった。
書き慣れていないのが一目見ても分かるいびつで拙い文字が書いてある。
僕はそれを目で追った。
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