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私の魔法は解けました
僕は焦る気持ちを殺しながら、三通目の手紙を開く。
指先が冷たくかじかんだ。
『ルカへ
私はルカに嫌われてしまったのでしょうか。
ルカが休むのは私を避けているからだとマミコが言っていました。本当ですか。もし本当なら私はこの手紙をルカに渡して、もう関わらないことにします。
思い返すと、私はルカになにかを求めているばかりで、気の利いた言葉も、好かれるようなことも、なにもしていないように思います。むしろルカを困らせてばかりかもしれません。
マミコは、去年のルカのことを教えてくれました。そして、ルカは一人が好きだから私が詰め寄ることは迷惑だったのではないかと言いました。
だけど私はそうは思いませんでした。
初めて窓の向こうからルカを見たとき、ルカはとても寂しそうでした。そしてとても綺麗でした。だから話してみたいと思いました。同情ではありません。私がルカに一目惚れしたのです。ルカのいろんな顔が知りたいです。笑った顔も、幸せそうな顔も見たいです。私がそうしたいと思いました。
ルカは一人が好きなのですか。
もしそうなら、本当に私はルカの迷惑でしたね。
昨日も一昨日も、お姫さま役はマミコが代わりにやりました。みんながお姫さま役はマミコがいいと言いました。
みんながどう言っても私は、お姫さま役はルカがいいです。
ルカ、声が出ないことに、どうか気を落とさないでください。私も幼い頃、一時期声が出なくなったことがあります。故郷の暮らしに馴染めず孤独でした。
声など必要がなかったので、私は声を失いました。でも今は喋ることができます。私の魔法は解けました。だからルカの魔法も解けると思います。
私はルカが大好きです。誰がなんと言おうとルカが好きです。
ルカが私を嫌いだとしても、私はルカが好きです。
私の思いがどれだけルカに伝わるかは分かりません。
ルカに会ってから、毎日ルカのことを考えています。ルカに触れたいです。
そう言ったら、祖母はそんなストレートなことを手紙に書くことは恥ずかしいことだと言いました。
だけど本当の気持ちです。
ルカ。
どんなルカも、ルカなら全部大好きです。
もしこの手紙を読んでくれたら、返事がくれると嬉しいです。
レオより』
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