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これが答え
「レオくんが浅見くんに近づいても、浅見くんって全然嬉しそうじゃないよね。むしろ迷惑そうにしてるし。この間もレオくんが浅見くんを姫役に指名した時、すごく嫌そうだったじゃない? 嫌いなら嫌いって言った方いいよ。レオくんだってそう言われれば浅見くんのところに来ないと思うし」
ああ、と鳥口は忘れていた、みたいな態度をとって僕に言った。
「浅見くんは喋れないんだったね」
鳥口は笑った。笑ってじゃあね、と言って僕の前から消えた。
彼女を少しでもいいやつだなと思った自分が音を立てて崩れていく。
イヤな奴。
嫌いじゃない。僕はレオが好きだ。だから手紙を書いた。
言えないけど手紙を書いたんだ。届いているはずなんだ。
胸の痛みを押さえつけて、静かに校舎裏に回った。昼休みなのに人っ子一人いないはずの校舎裏に、一人の背中が見えた。
レオだった。
僕はいろんな気持ちがないまぜになった心持ちで彼の背中へ歩み寄る。歩み寄る足がいつの間にか駆け足になった。息を弾ませながら彼の隣に立つ。
横にいるのがレオというだけで溢れる笑みをおさえつけて顔を上げたら、レオは僕へ視線を向けずに正面をじっと見つめていた。釣られて前を見る。
僕たちの作った雪だるまがそこにあると思ったんだけど、そこには雪だるまの残骸が転がっていた。
雪だるまだけど随分無残な有様だった。
それから、手紙がない。僕が書き殴った手紙が、ない。レオがもうすでに手にしたのだろうかと思って顔を上げたが、レオは僕が期待するような反応をしていない。
手に手紙も持っていなかった。
レオは雪だるまだったものを指差す。
「ルカ……これはどういうこと?」
震える声で言った。レオのこんな声、僕は初めて聞いた。
「これが答え……?」
レオは今にも泣きそうな顔で笑っていた。
答え、って、なにが? なにが起こっている? 世界のスピードについていけない。
だけど漠然と僕の言葉はレオに届いていないんだということを感じた。
そして僕たちの雪だるまを粉々にしたのも彼じゃないということも伝わった。
「俺の手紙、迷惑だったよね」
……?
「読んでもいないかな。もしかして」
なに?
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