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四の五の

「ルカと出会えなかった世界なんて、きっとすごく退屈だったと思うから」  僕はそう言った彼の表情を、きっといつまでも忘れない。  *.○。・.: * .。○・。.。:*  早朝の高校はやっぱり静かだったけど、昇降口から校舎の中へ入ったら、二人の影が見えた。僕たちは顔を見合わせて近づくと、エミリとアイリが下駄箱に凭れかかっていた。  二人は僕たちを視界に入れるなりおはようと口を揃えて言う。 「いろいろごめんなさい」 「許して欲しいとは思わないけど」 「本当に、悪いことをしたと思う」 「ごめんなさい」  彼女は僕らに向かって頭を下げた。 「いいよ。それより僕のこといろいろ庇ってくれたみたいでありがとう。レオから聞いた」  僕が昨日高校を無断早退したことに対して、エミリとアイリはあーだこーだ理由をつけて担任を丸め込んでくれたらしかった。  彼女たちは僕の声を聞くと顔を見合わせて目を見開く。  その後に僕に向かって花が綻ぶように笑ったんだった。綺麗な花が二輪。  可愛い人たち。 「ルカくん、ちょっと家庭科室までいいかしら」  エミリが言った。 「どうして?」 「衣装が昨日ほつれちゃって……慌てて繕ったんだけど本番前にあなたにチェックして欲しいから」 「エミリとアイリが繕ったのなら大丈夫だと思うけど……」 「四の五の言わずに来て」  僕は彼女たちの鬼気迫る様子に反射的に頷いた。怖い。  僕に引き摺られてレオも付いて行こうとしたら、アイリがそれを遮る。 「レオくんは今日日直でしょ」  レオは舌を出して嫌そうな顔をする。 「教室、まだストオブ付いてないわよ」 「とっても寒かった」  エミリとアイリの言い草にレオは不満だったようだ。  

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