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子羊ちゃんは狼の家へ 3
テレビ画面の中では女の子が男優の陰茎をいやらしく舐めている場面に移っている。裕二くんは画面と俺のを見比べて「やっぱり先生のがデカイ…」と少し震えた声を出した。
「大きくても下手だと痛いだけらしいけどね。でも、俺上手いから安心して」
自分の陰茎に付着しているぬるついたローションを少し拭き取り、するするとコンドームを装着する。
「それ、今から挿れるんだよな……?」
裕二くんの視線を受けながら、ゴムの上からまたローションをとろりと垂らす。
「やっぱり無理だよ、デカすぎだって……今日は練習って言ったじゃん……」
手を上下に動かし、丹念に塗りつける。よし、これで大丈夫。
「まだ練習。裕二くん、横向いて」
怖がる裕二くんを横にさせ、側位の体勢にさせる。これだと裕二くんが力まなくていい。
「せ、せんせ…やっぱり俺怖い…お尻の穴壊れるって…」
「俺とセックスするのは嫌?」
「嫌じゃねーけど…痛いのは嫌だ…」
「ローションつけてるから平気だよ。本当に痛かったらすぐやめる」
「ほんとに…?」
「約束するよ。痛いことはしない」
硬くなった陰茎を裕二くんの可愛い蕾にあてがうと、彼の身体が強張るのがわかる。後ろから抱き寄せて、首筋にキス。大丈夫、痛くないよ。今から凄く気持ち良くなるから。何回もそう言って左手で彼の手を握ると、裕二くんも強く握り返した。
「ゆっくり挿れるね……」
ずぷ……♡ずぷずぷずぷ……♡
「あ、あ……先生ぇ…これ本当に練習…? 本番じゃなくて…? あ……ッ」
「練習だよ。力抜いて…」
俺の左手が強く握られる。陰茎は柔らかな直腸に徐々に包み込まれ、その度に裕二くんの握る力が強まった。
「はっ…♡はっ…♡」
「裕二くん、俺のおちんちん挿入ったよ」
暫く動かさず、じっくりと彼の内壁の温かさを堪能する。狭い蕾が俺の大きさに合わせて広がってると思うと背中にゾクリと快感が走る。
「はーっ♡はーっ♡おっきぃ…」
「これで終わりじゃないよ。動かしていくから痛かったら言ってね」
「あっ達哉せんせっ…動いちゃダメ…ッ…」
少し動かしただけで、俺の陰茎を離さないかのように淫肉が絡みついた。ダメなのは俺の方だ。初物って凄い。
「やっぱり狭いね。先生のおちんちんにギュウギュウに絡みついてくる……」
「あ〜〜抜くのだめ…♡」
窄 まった蕾に自分の陰茎が馴染むように、ゆっくりと動かす。裕二くんは奥に挿れられるより、手前に引き抜かれる時が気持ち良いみたいだ。
「ゆっくり動かすよ……」
「あ…せんせぇ…だめ……ん、んんっ♡」
「裕二くん、君の中凄く気持ち良い。先生、すぐイっちゃいそう……」
「あ…♡あ…♡」
綺麗なお尻に、自分の肌があたる。すべすべして気持ち良い。
「裕二くん、左脚もっと上げるよ」
もっと奥まで挿入できるよう、彼の片脚を上げてさっきよりも激しく腰を動かす。
「あ〜♡せ、せんせ…♡」
「さっきよりも深く挿入ったね…」
この体勢は受け入れる側が楽だが、やっぱりこちらとしては視覚が物足りない。可愛い顔もお尻もおちんちんも、全てが見えない。美しい背筋も抱きしめているから近すぎてじっくり見れないし、よし、正常位にさせよう。
裕二くんを仰向けにして、またずぷりと挿入する。大分ほぐれてきたようでかなり簡単に飲み込んでくれた。だが、挿入した途端にギュッと締め付けてくる。なんてやらしい身体なんだろうか。
「先生、ゆっくり……はやいよぉ……」
「速く動かしたら痛い?」
「痛くないけど…へんなかんじ…」
「俺のおちんちんが裕二くんの中に挿入りたいって言ってる。気持ち良いって言ってるよ」
「あ〜…♡んっ♡んっ♡だからはやいよっ♡せんせぇっ♡」
裕二くんのおちんちんはフニャフニャだ。まぁ初めてだからしょうがないか。顔を真っ赤にしながらも懸命に俺の大きな陰茎を受け入れるだけで精一杯だろう。そのうち挿れたままでもガチガチに勃つくらい感じさせてあげるからね。
「そのうち先生のおちんちん挿れたままイけるようになるから、それまでこうやって練習だよ」
「れん、しゅ♡あっああっ♡」
「本番は君が未来の恋人とセックスする時。だから俺とはまだ練習……。あ〜…可愛いすぎてヤバい…中に出したい…」
彼の腰を掴んで、徐々に早く抜き差しする。この擦 れる快感が堪らない。可愛い男の子が、自分の陰茎で身体をくねらす。思わず顔がにやけてしまう。
「んっ♡んっ♡んっ♡んんっ♡」
「裕二くんこっち向いて。キスも練習…」
「ん…んぅ♡はぁっ♡はぁっ♡たつや、せんせ…キスするのすき…♡もっと、して…♡」
「これからいっぱいキスとセックスしようね」
「たつやせんせぇ…♡すき…♡ん、んぅ♡んはぁ…♡」
「俺も可愛い裕二くんのこと好きだよ。はぁっ…ちょっと速くするから、先生の背中に腕回してね…」
「え…あっ…あっ♡あっ♡せんせぇっ♡♡そんなに動かしたらおしりこわれるよぉ♡♡」
裕二くんは感じてくると甘えたような口調になるみたいだ。いつもの口調もいいが、これもまた可愛い。裕二くんの首筋に顔を埋め、腰を激しく打ち付けると彼の腕がギュウッと俺の身体に回ってくる。同時に淫肉も締まり、思わず俺の声が漏れる。
「うぁ…君はやらしいケツまんこ持ってるね…ヤバい、久々に持たないかも…気持ち良い…」
「あ〜〜ッ…♡♡」
初めてなのに俺のモノを根元まで咥えこむなんて、凄い逸材。これから裕二くんの家に行くのが楽しみだ。
(気持ち良さそうだけど、まだ違和感のが勝ってるだろうなぁ。何回も馴染ませないと気持ち良くならないし…)
──達哉は初めてなのに上手いね。ちんこおっきいし。何回もすれば良いとこ突けると思うよ。
何だか先輩のことを思い出した。俺に色んな初めてを教えてくれた人。初めて好きになって、ずっと一緒にいたかった人。だけどそれは叶わなかった。そんな事を考えれば、自分の腰の動きは速度を増していく。
あの時も気持ち良かった。こうやってあの人の脚を持ち上げて、あの人の気持ち良いところ突いてあげるとあの人はとても喜んだ。
「たつやせんせ…はぁっ…おれ、へんに、なる…から……」
飛んでいた意識を慌てて戻し、裕二くんの顔を見る。蕩けた顔だが涙が出ていて、とてもエロティック。
「裕二くん、そのまま変になっていいよ」
「も、やだ…せんせぇ…♡んぁっ♡んぁぁっ♡はや…ゆっくり…♡あっ♡んんっ♡」
「ん、可愛いよ…あ〜…イク……」
「たつやせんせぇ……♡♡」
君の初めてを貰った癖に、別の人のことを考えた俺を許してね。可愛い可愛い裕二くん。君もいつか、俺から離れていくんだろうね。
初めての人は忘れない。だから、君の記憶の中でずっと俺が残ればいいな。
恋とか愛とかは考えない。ただ、やりたい子とやるだけだ。そんなことを考えているうちに俺はゴムの中に精液を出し、はぁはぁと荒い息だけを吐く裕二くんを上から見下ろしていた。
これが、三ヶ月前の話。こうして俺は、後日裕二くんの初めてをもらい、それから毎週セックスするようになった。
彼とのセックスは毎回気持ち良くて、正直今は他の人とセックスする気にはなれない。
それに裕二くんは俺のことが大好きらしく、この間なんて他の人とセックスはしないでと言われてしまった。言われなくても、俺はすっかり君に夢中だっていうのに。
俺も彼もお互いが好き。だけど付き合ってはいない。でもセックスはする。セフレでも恋人でもない変な関係だ。
俺はやりたい子とやるだけがモットーだった。付き合いたいと思うほど好きになる子は最近いなかったし。だけど裕二くんとは付き合いたいと思うようになってしまった。
裕二くんが俺以外とセックスするなんて許せない。あの子は俺が開発したんだから、他の男もましてや女でさえ近づけたくない。
だけど今更〝付き合おう〟なんて言えない雰囲気。
「たっちん! 飲み会の話早く返事ちょうだいって!」
お前にかかってるんだよー! と翔ちゃんの必死な言葉で、意識が現実に戻る。
「翔ちゃんって、セフレいる?」
「何、いきなり…まぁ、いるけど。胸大きいけど可愛くない子」
付け足した言葉はいるのだろうか。ちょっとその子可哀想だな。
「その子に好きとか思ったことある?」
「えぇ? 何たっちん、セフレに告られた? あれ困るよなー、セックスする為だけのライトな関係だから続いてんのに。セフレが彼女になるとかあり得ないのわかれっての」
「そ、そうだよな……困るよな」
「じゃ、新たなセフレ作りに飲み会行こ!」
「行かない」
「えーっ!? たっちんの薄情者!」
もう女の子紹介してって言っても知らないんだからね! と翔ちゃんは何故かオネェ言葉で去っていった。
──セックスする為のライトな関係だから続いてんのに。
裕二くんと俺も、セックスだけをする関係だから今良好なのだろうか。もし、付き合ってと言えば、この関係はおかしくなるのだろうか。
俺は画面の中の裕二くんの写真を眺め、重く溜息を吐いた。
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