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第2話

春菜は、降りしきる雨に手を差し出して言った。 「で、相談だけど」 「なんだ?」 「彼女へのクリスマスプレゼント。悩んでいるんだよな」 「彼女へか……そうだな。俺も、考え中だ」 「そっか。オレが貰いたいものは決まっているんだけどな。ははは」 「ぷっ。で、何が欲しいんだ? 春菜」 「オレはな……」 春菜は、欲しい物を口にした。 それは、つい最近公開されたばかりのSF映画のキャラクターフィギュアだった。 「おいおい、それって、UFOキャッチャー限定じゃないか? 欲張りな奴め。さすがに、プレゼントしてもらうのは厳しくないか?」 「だな! ははは。まぁ、実際はなんだっていいんだけどな」 春菜は、頭をかく仕草をした。 俺は、笑いながら言った。 「彼女の前で、ずっとアピールしてもらえるかどうかだな。ネットなら手に入るだろうから。ほら、子供が親にサンタのプレゼントを頼むようにさ」 「あははは。そうだな」 春菜は、無邪気に笑う。 キュン……。 くそっ。いい笑顔しやがって。 「で、仁。お前はどうなんだ?」 「俺か? おれは、そうだな。とくには……」 ふと、春菜のスマホのキーホルダーが目に入った。 「俺は、お前のそのキーホルダーみたいのがほしいな」 「ぶっ! こんな、安物をか? それこそ、彼女からこんなプレゼントをもらうのは至難の技だぞ」 「そっか?」 「そうだよ。こんな安物だと、愛していない、ってアピールするようなもんだからな」 「なるほど。確かにな」 ふぅ。 彼女がいるフリも楽じゃない。 俺はしんどくなる前に話を変える。 「それにしても、雨止みそうにないな」 「ああ、そうだな。いっそ、走って帰るか?」 「何言っているんだ。駄目に決まっているだろ!」 「なんでだよ!」 「春菜! お前の体が心配だからだよ。風邪でも引いたらどうするんだ」 「また、俺の体の心配かよ。仁はまるで俺のオカンだな。ははは」 「悪いかよ!」 「いや、うそ。嬉しいよ。俺に気遣ってくれて」 「そうだ。分かってくれればそれでいいよ」 「ありがとう! 仁! ははは」 くそっ! また、その笑顔かよ。 悔しいけど、胸がときめく。 その時、春菜のスマホが鳴った。 チッ。 せっかくの二人のいい雰囲気を。 「あっ、ちょっと待って。着信」 「どうぞ」 春菜は、外を見ながら話し始めた。 「うっ、うん。そう、あじさい公園。じゃ、待っているよ」 ん? ずいぶんと親しげな口調。 誰からだ? 「仁、ちょっと待っててくれ。傘持ってきてくれるってさ」 「へぇ」 しばらくすると、予備の傘を手に持った女があじさい公園に入って来るのが見えた。 高校生? 誰だ? 俺は訝し気に見つめる。 その女が近づくと、春菜が嬉しそうに手を振った。 「おー! カエデ! わりぃわりぃ!」 「まったく、春菜は。あれ? お友達もいっしょ?」 その女は、俺の顔を見た。 俺は、軽くお辞儀をする。 その女は、にこりと微笑んだ。 カエデといったか。 美映留女子の制服を着てるってことは高校生か。 学校帰り? なのか? そういえば、春菜と下の名前で呼び合う仲。 こっ、こいつがもしかして、春菜の彼女? 「そっか、一本しかないか……」 「春菜が言わないから」 「なぁ、カエデ、この一本友達に貸していいか?」 二人のやり取りを聞きながら、尚もカエデと言う女を観察する。 かなり可愛い。 いや、最高に可愛い。 黒髪、ストレートのロング。 二重まぶたで、目鼻立ちははっきりしている。 春菜と話すその表情は、周りの人も楽しくさせてしまう、そんな笑顔を浮かべる。 そこら辺のアイドルよりは間違いなく可愛い。 春菜を好きになる前だったら、絶対に惚れていただろう。 それにしても、春菜の彼女がこんなに可愛いとは……。 彼女との話が終わったのか、春菜は傘を一本俺に手渡した。 「仁、この傘使って」 「おう。わりぃな」 俺はそれを素直に受け取った。 「いいって。じゃあ、帰ろう。仁は駅の方だよな?」 「ああ」 「オレ達はこっちだから。またな!」 「おう、また明日!」 春菜は、もう一本の傘に彼女を入れて歩き出した。 春菜の彼女は、俺と目が合うとコクリとお辞儀する。 俺も、軽く頭を下げた。 俺は、二人を見送り思わずつぶやいた。 「チッ、相合傘かよ」 しかも、腕なんか組んで、体をぴったりとくっつけて。 それも、恥ずかしがる様子もなく、だ。 くそっ。 かなり仲がよさそうだ。 俺は、落ち込んだ。 「告白したわけじゃねぇけど、これは明らかに失恋だな……」 家に帰ると、風呂が沸いていた。 寒かったからありがたい。 それに、この失恋した気分を洗い流したい。 俺が脱衣所に入ると、お袋から声がかかった。 「仁! はやくお風呂はっちゃいなさいよ」 「ああ! わかっているよ!」 まったく。 風呂ぐらいゆっくり入れさせてくれ。 俺は、脱いだ衣類を無造作に籠に放り投げた。 それにしても、あのカエデって女。 確かに可愛いいし、性格もよさそうだ。 くそっ! 春菜とは一体どこまで行っているんだ? あの様子だと、キスは当たり前、フェラもしてそうだな。 セックスは……まぁ、しているか。 あの可愛さだと、春菜も欲望に任せてやりまくりか……。 あの女、春菜のペニス、しゃぶって、咥え込んで。 くそっ! くそっ! ふぅ。 こんな嫉妬しててもしょうがない。 俺は、脱いだズボンのポケットから春菜に借りたハンカチを取り出した。 そして、広げて鼻に押し付ける。 スーハー、スーハー。 ああ、春菜の匂い。 ああ……興奮してくる。 俺はそそり立つものを握りしめ、しごき始めた。 はぁ、はぁ。 気持ちいい。 春菜の匂い、堪らねぇ。 俺は、変態だ。 俺のペニスは、春菜以外じゃもう勃起すらしない。 「春菜……春菜。好きだよ、春菜。うぅ。でるっ!」

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