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ずっと君だけを(8)
ばかだよ。浩ちゃんは、本当にばかだ。
浩ちゃん自身の問題だけじゃない。今日、あんなふうにみんなの前で言われたら、俺はもっともっと浩ちゃんを好きになるよ。
そうしたら、この手を離したいって言われても、俺は絶対に“嫌だ”って抵抗してしまう。
これ以上好きの気持ちが大きくなったら、それがいつか浩ちゃんの迷惑になるんだ。
「ばか、」
「永遠っ」
「浩ちゃんの、ばか!」
「いい加減にしろ……!」
パチンッ
浩ちゃんの怒声とともに、頬に痛みが走った。
何が起きたのか、すぐには分からなくて。
ぼぉーっとする頭で考えているうちに、頬がひりひりと徐々に熱を帯びてくることだけは分かった。
……俺、叩かれたんだ。
痛みで熱くなる頬を手で押さえながら、どうして浩ちゃんがそんなに怒るのかと彼を見上げると、視界に入ってきた彼の姿に何も言えなくなった。
「……っ、」
だってね、浩ちゃんが、何もかも完璧な彼が、声が漏れないように歯を食いしばり、静かに泣いていたんだ。
「……浩ちゃん、」
彼の泣き顔を見て、さっきまで感じていた頬の痛みが分からなくなった。代わりに何かに強く掴まれているような痛みが胸に走る。
俺が、浩ちゃんを傷つけたんだ。
でもどうして……?
「浩ちゃ……、」
「ばかはお前だろ!何だよ、何も知らないくせに……! 俺に追いつこうとして頑張る、お前のことをずっと好きで、いつまでも追いかけて欲しいって、俺だけ見てて欲しいって、そのためにどんなに俺が努力してきたとか、何もしらないだろ、」
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