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ずっと君だけを(9)

「……っ、こう、ちゃ……」 「逃げ道? ……誰が頼んだよそんなもの。俺が、お前から離れるって? そんな時が来るって? ……ふざけんなよ。逃げ道を取っておいて欲しかったのは、お前の方だろ」 「こう、ちゃ……っ、ぅあ、あっ、」 「永遠じゃなきゃ、だめなんだよ……。俺、お前じゃなきゃ、嫌だ、」 「あぁ、あ……、うっ、あ……」 ぽたりとインクが水に落ちて、じわじわ広がっていくみたいに、俺の心もゆっくりと、温かな気持ちが広がっていく。 うまく呼吸ができない上に、涙も鼻水も止められなくてみっともない顔をしている俺を、浩ちゃんは力強く抱きしめた。 浩ちゃんが、あの浩ちゃんが、こんなにも俺のことを……。 「浩ちゃ……、っ、」 好きだ。好き。浩ちゃんが、浩ちゃんだけが、 ずっと、ずっと、大好き。 顔を胸に押しつけなくとも聞こえてくる、どくどくとうるさい彼の鼓動。 それにまた、涙がこぼれる。 俺だけじゃなかったんだ。好きだから必死になっているのは、浩ちゃんも同じだったんだね。 「好きだ、永遠だけが……。ずっと、好きだった、」 何度も囁かれる好きの言葉。嬉しすぎて、彼を想う気持ちがまた大きくなって、もう、心臓が壊れてしまいそう。 「こ、う、ちゃ…、」 背中に回した手に力を込め、浩ちゃんの胸に頬ずりすると、浩ちゃんは俺の首に顔を埋め、それから鎖骨あたりを甘噛みしてきた。 「本当に俺、余裕なんかないよ。頭の中は、いっつも永遠でいっぱい」 「うん、」 「こんな俺は、嫌……?」 「……す、きっ」

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