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今度は俺の番(1)
アパートの階段を、白い息を吐きながら上がる。この階段を上がりきればすぐに俺の部屋だと、ポケットに入っている鍵へと手を伸ばし、冷たいそれに触れた。
最後の一段へと足をかけ、帰ったら何を食おうか、何か食うものあったけ? と、そんなことを考えながらぐうと鳴るお腹をさすった時、部屋の前にちらりと見えた人影にそれまでの数倍の白い息を吐いた。
今日は一体何の用だと、最後の一段を完全に上りきったところで足を止め日付を思い出してみれば、うげ、と変な声が漏れた。
12月5日。今日は俺の21歳の誕生日じゃあないか。
また来たのかと呆れる反面、よくもまぁ覚えているもんだと感心もする。高校を卒業してコイツと離れてから数回目の俺の誕生日。頼んでもいないのに里田は、毎年こうして俺の家へとやってくる。出会った時から一度も、仲良くしたことなんかないくせに。意味の分からないイかれた野郎だと、初めから今日のこの瞬間も印象は何一つとして変わっていない。
高校時代はずっと、学年に一つしかない特別クラスにいたせいで、低い成績のために落とされない限りはクラスが替わらなかったから、仕方なく三年間同じ教室で過ごしていた。
高校を卒業したらもう、会うこともないと清々していたのにどうしてか同じ県の大学へと進んでしまっていて。あげく、誰に聞いたのかは分からないけれど、いつの間にか俺の家も把握されていた。
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