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今度は俺の番(3)
ポケットから鍵を取り出し鍵穴へと入れる。ガチャリと廊下に響いたその音に、里田が立ち上がった。部屋に入れてやるとは一言も言っていないのに、当たり前のように俺の後へと続き、玄関で靴を脱ぎ始める。
見慣れてきたその光景に俺は何も言わず、やっぱりため息を漏らした。
「あいかわらず、本当に何もない寂しい部屋だね」
「は?」
勝手にヒーターのスイッチを入れ、里田は俺のベッドに腰掛けるとそう言って笑った。
さっきまで部屋の外で座り込んでいたくせに。そのままベッドに座る里田が気に入らなくて退くように言えば、はいはいごめんねと、これまた気に入らない笑いを浮かべながら、テレビ近くに座っていた俺の横へと腰を下ろした。
「女っ気がないのは分かってたけれど、男友だちだってあんまり来ないでしょ? 来たってつまらない部屋だもの。ねぇ、まだ一人ぼっちのまま?」
「……何が言いたいわけ?」
「だって涼くん、高校の時も一人でいたもんね。仲良くしてあげてたの、僕くらいしかいなかった」
里田が俺の腕を掴んだ。顔を見る気はこれっぽっちもなかったのに、無理矢理里田の方を向かされる。あぁ、何もかもが気に入らない。俺はどうしてコイツを部屋に入れてしまったんだろう。体力は俺の方があるんだ。いつだって簡単に追い出せるのに。
逃げることができないなんて、そんなの嘘だ。拒否して拒否して、とにかく里田に冷たくあたっていれば、コイツだっていつまでもこんなふうに俺の元へはやってこないだろう。
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