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今度は俺の番(4)
俺が今こうして嫌な思いをしているのは、全て里田が悪いんじゃあない。突き放せない俺も悪い。里田と嫌でも関わるようになってから、ずっとだ。
高校の時、俺たちのクラスはあまり仲の良いものじゃあなく、正直居心地が悪かった。上辺だけの関係なら必要ないと、俺は輪の中に入ることなく何かない限りはいつも一人でいた。
そうやって自らそれを選んでいたのに、里田は一人ぼっちで可哀想だと、俺のことを笑っていた。“今日も一人でしょ?”と、それはそれは楽しそうに。
里田はクラスでも目立つ存在のグループの中にいた。作られた笑顔を貼り付けていた里田は、そのグループに溶け込んでいたとは思えなかったけれど。
俺は初めから里田が苦手だったし、グループを時々抜けて俺に関わるようになってからはもっと苦手だった。
居心地の悪い場所からの逃げ場にされたみたいで。
…………あれ?
「ふはっ」
何を考えているんだと、おかしくなって笑った。突然笑い出した俺に驚き、里田が掴んでいた腕を放す。そんな里田に構うことなく、俺は袋の中に入っている酒を取り出した。
プシュッと音を立てたそれに、少しだけ気分が良くなった。
「涼くん、」
「別に、」
「え?」
「……別に、お前と仲良くしてたつもりも、してもらってたつもりもないけど。それに、そういうお前だって、周りにいた奴らの中で浮いてたじゃん。結局一人でいるのと何も変わらない。仕方なく構ってやってる俺しか、お前にはいなかっただろ」
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