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今度は俺の番(9)
「はぁ……」
白い息を吐きながら、いつものように階段を上がる。今はもう夜中の1時で、辺りもだいぶ静かだ。
さっきまで先輩とわいわい飲んでいたから、今日はこの静けさが妙に気になる。騒がしい飲み会が終わった後で一人になり、珍しく寂しさを感じているところがあるのだろう。
ただ、ここ最近までずっとチカチカしていた階段と廊下の電気が新しいものに取り替えられたらしく、柔らかく明るい光が照らしてくれるのに少しほっとした。
「はぁ~……、さむっ、」
今日はもう風呂に入るのをやめよう。騒ぎ疲れたし、寒いし、とにかく早く布団に入りたい。
そんなことを考えながらポケットの中で鍵を握り、最後の一段を上り切ったところで顔を上げると、俺はその場で立ち止まった。
「……ばかじゃん」
部屋の前にいたからだ。里田が、まだそこにいた。
「何してんだよ」
慌てて駆け寄り腕を掴むと、その体のあまりの冷たさに息を飲んだ。コイツ、いつからここで待ってたんだ?
約束なんかしていなかったのに。俺が帰って来ないのなら、いつまでもここでこんなふうに待つ必要はないだろう?
「……っ」
先輩に誘われた時、返事に迷ったのも里田のせい。その後も少し、里田のことを気にかけていた。そうして、里田とは約束してないからと飲みに行って帰って来てみれば、コイツは未だにここで俺を待っているし、体は氷みたいに冷たくなっていて。そんな里田を見て、どうしてか俺が、罪悪感を抱いている。
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