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今度は俺の番(11)

里田を見ていたら、俺まで泣きそうになってきた。嫌がらせと思っていた今までの里田の言動は、不器用な愛情表現だったのか? 好きでもない、仲良くもしたくないはずの俺の元に何かある度にやって来るなんて、とそう思っていたけれど、好きで仲良くしたかったから俺の所に来ていたって、そういうこと? 「里田……、」 可愛いと、そんなことを思ってしまった。俺のためにこうして泣く里田に、心を掴まれた。 「里田、」 あの時からずっと、逃げ場でも何でもなかったんじゃあないかってまた変なことを考えたけれど、そのせいで口元が緩んだ。俺、今の里田を見て、喜んでる。変なことを考えているんじゃない。俺がおかしくなってしまったんだ。 可愛い。……里田、可愛いね。 今まで散々迷惑をかけてきたくせに。余裕振って、何を考えているか分からなかったのに。そんなお前が、こうして泣いているなんて。 ねぇ、里田。泣き顔を見せてよ。俺のせいでぐしゃぐしゃになったその顔を見せて。今なら気持ち悪いだなんて言わない。だから、君しかいなかったし、君しか必要なかったって、あの時の言葉を呟いて。 もっともっと歪んだ顔で、俺だけに見せるその顔で。 「俺が誰とクリスマスを過ごそうが、お前には関係ないだろ。約束してたわけじゃない。お前が毎回勝手に来てるだけのこと、」 低い声で冷たくその言葉を放つと、里田が顔を上げた。思っていたよりもずっと、酷い顔。大粒の涙は止まらなくて、涙を止めようと強く擦ったんだろう、目元がかなり腫れている。  

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