52 / 230
静電気(4)
子どもみたいに泣きじゃくる僕に対して、戸惑いおろおろする永倉。君はある意味で僕の静電気だったんだと伝えると、よく分からないけどごめんと謝られた。
でももういいの。あんなに胸が痛くなっていた静電気はきっともう来ないから。
しばらくして僕が泣き止むと、永倉は優しく笑って、俺ん家に行こうと言った。今までの分を少しずつ埋めていこうって。
僕は嬉しかったから、一緒にいたいって、さっきは言えずに飲み込んだその言葉を口にした。永倉の頬がリンゴ色に染まる。
「可愛いこと言うなよ」
「可愛いのは永倉のほっぺ」
「怒るよ」
「嫌だ」
「怒んないよ」
「うん、永倉好き」
「もうマジ勘弁」
ほら行くよ、と永倉が僕の手を掴む。その時、バチッと小さな静電気が走った。
「ごめん。静電気痛かった?」
「……ううん、大丈夫」
静電気は痛いから嫌い。大嫌い。でも、永倉とくっついて起こる静電気は、痛いけれど、なんだか心地良かった。
「静電気、好きな時もあるかも」
「え?」
「今できた」
ぽかんとした顔の永倉に、へへっと笑い、それから繋いだ手を強く握りしめた。
END
ともだちにシェアしよう!