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愛の代償(2)

だから神は、私に死を以て罰を与えた。最も残酷な、“彼の死”を以て。 「魔女狩りだ! あの方が火炙りにされてしまう! 誰よりも神を信仰していた、あの方が! ……信じられない!」 町中が騒めく。道端には泣き倒れる人も。取り返しのつかないことをしてしまったと、したところで遅い後悔に握りしめた手に血が滲んだ。 彼を愛していたのは、私だけでなはいのだ。それなのに私は、神を裏切り、彼からの愛を望んでしまった。 あぁ、どうして。 私ではなく彼なのでしょうか。 恐怖に怯え悲しみに嘆く人々を避けながら、私は、ひたすらに彼のもとへと走った。 「入れてください! 彼に、会わせてください!お願いです、お願いします……!」 牢獄の堅く閉じられた門の前に立っている、門番に跪いて請う。入れてやれるはずがないだろうと怒鳴る門番に、ただ泣いてすがりつくことしかできない無力な自分に涙が止まらない。この騒ぎも何もかも夢であったのならば、二度と神を裏切りはしないと、混乱している頭の中で働く思考も、自分の無力さを伝えてくる。 「お願いです! 彼に、彼に、会わせてください……!」 自分は死んでも構わない。死ぬ覚悟で彼に会いに来たと、血が滴るまで地面に額をぶつけて頼み込んだ。無力な私にやれることは、こうして頼み込む以外には何も、残ってはいやしないのだ。 「……っ、日が沈むまでだ」 いい加減にしろと怒鳴り散らす門番を無視して続けていると、思いが通じたのか、仕方ないと折れてくれた。

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