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こんな展開、望んでなかった!(4)

「くそ……、周の奴……」 分からない感情に支配され顔を覆う。コロコロと口の中を転がる飴のせいでまた、さっきの笑顔が脳内に再生される。その周の笑顔に苛々して唸ると、後ろから誰かに叩かれた。 「その飴! 私が周くんにあげたの。どうしてアンタが食べてるの!」 「いたっ、」 振り向いた瞬間、髪を掴まれた。このまま引っ張られると、髪の毛が抜けてしまうんじゃないかってくらいの強さ。あまりの痛さに目が潤む。 「さっさと吐き出して!」 「吐き出したって、ただのゴミになるだけだろ? 俺だって欲しくてもらったわけじゃない! 周が、勝手に口の中に入れてきただけだ……!」 女子同士では喧嘩しないくせに。何のつもりで周様に話しかけてるだの告白してるだの、そういうことは一切なくて、そこだけは平和なのに。男の俺が、こうして周に構われると必ず誰かがキレる。 そうだ。俺が女子にモテないのは、嫌われているのは、周が時々俺に構うからだ。だからこうして女子の恨みを買ってしまう。それなのに、肝心な時に周は俺の近くにいないし、俺だけが嫌な思いをするハメになる。 「何でアンタみたいな奴が周くんに飴を食べさせてもらえるの? 周くんに、何かしたの?」 「何かしたって、俺に何ができるって言うんだよ。意味分かんねえ……!」 痛いから髪を掴む手を離してくれとお願いするのに、掴む強さをさらに強くする。同じクラスメイトだろ? どうしてここまでされなきゃいけないんだ? 「……っ、怪我しても知らないからな!」 俺は思いっきり相手の足を蹴った。きゃっと叫んで倒れた隙に、その場から逃げようと教室の入り口まで走る。これで大丈夫だと思った瞬間、今度は告白から戻って来た周にぶつかった。

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