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こんな展開、望んでなかった!(5)

「裕樹? 何してんの?」 「……周!」 「どうした? もう授業始まるけど。……って、髪の毛ぐしゃぐしゃになってるじゃん」 周の言葉にドキリとした。これで俺と女子が揉めたことを周に知られたら、さっきの女子に後で何をされるか分からない。そう思って怖くなり、慌てて振り返って俺が蹴飛ばしてしまった女子を見ると、何事もなかったかのように席に着いて次の授業の用意をしていた。……さすがすぎる。確かに、飴のせいで俺に暴力を振るったと周に知られれば、アイツは周の中で悪いイメージが付けられるもんな。 ゆっくりと教室を見渡せば、クラスの他の女子も知らない振りをしているし、男子は見なかったことにしたいというような表情。何だよ……、周のせいで、俺、可哀想なことになってる。 「周のせいだよ。全部、お前が悪いんだからな」 「はぁ? 何が俺のせい? 意味分からないんだけど」 「いいよ、分からなくて。むしろ分からないほうがいいんだ。お前ほんっとムカつくな」 「は? だから何を急に。……でも、飴は、おいしかっただろ?」 「……はいはいおいしかったです。どうもありがとうございました」 だからその飴が問題なんだろ、とは言えず、逃げる必要もなくなったから席に戻ろうとした時、周がまた俺の髪に触れた。掴まれてぐしゃぐしゃになったところを、手ぐしで解いてくれる。 「そういうこと、しなくていいから」 「何で?」 「何でも! 触るな!」

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