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こんな展開、望んでなかった!(6)

周を叩こうと手を伸ばすと、軽くかわされ、その手を掴まれた。 「触りたくなるんだから仕方ないだろ」 「ばっ、か……!」 「触るなって言っておきながら、俺に触ろうとするバカに、バカ扱いされたくはないけどね。ほら、授業始まるから席に着けって」 とんっと背中を押され、俺はもう何も言い返すことなく席に着いた。けれど、席についたところで気持ちは収まらない。あぁそうだよ。俺と周、席も隣じゃないか。 「くそ……」 本気で平和に過ごせる方法を考えなければならない。授業中、時々周を睨みながら、ずっとそんなことを考えていた。 ◇ 「何で睨んでたの?」 休み時間になった途端、周が隣の席からそう聞いてきた。しばらく無視を続けていると、椅子ごと俺のところへやって来て、「どうした?」としつこく聞いてくる。それでも無視していると、横から頬をつつき始めた。 「……あまっ、んうっ、」 いい加減にしろと振り向いて、名前を呼ぼうと口を開けた瞬間、狙っていたかのようにまた、飴を口の中へと入れてきた。今度はレモン味だ。またアイツに髪を引っ張られると、咄嗟に周りを見た時、「この飴は俺のお気に入り」だと言われた。 どうやら自分で買ってきた飴らしい。ポケットにいくつか入っているようで、周も食べ始めた。 だったら最初からそっちを渡してくれれば良かったのに。 そんな俺の気持ちが届くはずもなく、周はコロコロと飴を転がしている。……って、周さん。舐め方がエロすぎやしませんか。

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