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こんな展開、望んでなかった!(8)

可愛い子から美人系の子まで、たくさん。控えめで大人しい子や優しい子だっている。ちょっと萌え要素のあるツンデレ系の子だって。 そうやってたくさんの中から、言い方は悪いけれど、好みの子を選び放題なのに。 誰も好きじゃないから仕方ないと、周はそう言うわけだ? ……いや、待てよ。ということは、言い換えてみれば、好きな奴がいるからってことじゃ? 告白してきた女子が、自分の好きな子じゃないから。だからオッケーしないってことだろう? 「なぁ、周。自分の好きな子からの告白だったら、お前はオッケーするってことだよな? じゃあ今、周には好きな奴いるってこと?」 「まぁな」 声が、いつもの周に戻った。表情もどこか余裕さのある、いつもの周。 やっぱり、周には好きな子がいるのか! ……それにしても、相手はどんな子か気になる。あれだけの女子からの告白を断ってまでも思い続けられているその子はどんな子なのだろう。同じクラスなのかな? でも、周とよく喋る女子なんかいたっけな? 周くん、周くんと、そう言ってる子ばかりしかいない中で、周のハートを掴んだ子がいたのか? 「……誰だろ、」 そう思ったところで、ふとあることが気になった。これだけ告白されててモテるのに、どうして周は自分から告白しないんだろう。まさか、相手から告白されるのを待っているとか? この余裕さから見ても、つらい片想いをしているようには見えない。 いや、でも。告白が成功する見込みがないかは、告白できない可能性だってある。周の表情なんか当てにはならないんだから。

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