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出来の悪い弟(4)

認められることは、こんなにも嬉しいことなのか。俺だって、やろうと思えばやれるじゃあないか。 今まで褒められることが無かったガキの俺には、兄貴との勉強をする毎日が素直に楽しく感じられるようになった。兄貴を見返してやろうと頑張り始めた勉強が、いつの間にか兄貴を喜ばせるための勉強に変わっていた。兄貴の笑顔が見たい。やったな、と褒めてほしい。大きな手で、頭を撫でてほしい。 バカな俺でもそれが、何を意味しているのかくらいは分かる。ただ自分を満たすためだけじゃない。認められたい、褒められたいのは、今までそうされなかった分を取り戻したいだけじゃないんだ。兄貴とこうして関わるようになって芽生えた新たな感情のせい。だって、兄貴が笑うと、胸がきゅんと騒ぐんだ。 「本当にお前最近頑張ってるよな」 「そう?」 「これから一緒にやらなくても、お前一人で大丈夫じゃないか?」 「え、」 「いちいち一緒にやる必要はもうないだろ。どうしても分からないとこがあったら、その時だけ質問しに来て」 「あ、……うん」 出来の悪い弟という言葉は本当に嫌な言葉だった。全く好きじゃなかった。だから見返してやりたくて頑張ったのに。何だよこれ。頑張った結果なのに、全然嬉しくないよ。

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