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同じ気持ち(2)
驚いて、手に持っていたチョコが手から落ちていった。だって、一番乗りじゃなかったの。そして、チョコを渡そうとしていた早見君が、僕の机の中に何かを入れようとしたところだった。
「ひ、日村君……! あの、これはね、その……えっと、」
僕に言い訳をしようと手を振りながら、早見君が後ずさる。ガタンッと大きな音がして、彼の背中に当たった僕の机が倒れた。その音に、ひぃっと小さく悲鳴をあげ、早見君が慌てて机を起こす。僕は、自分が落としたチョコを拾って、少しだけ早見君に近づいた。
「……どこもぶつけなかった? 足とか、大丈夫?」
「だ、大丈夫! ごめんね、僕、机倒しちゃって、」
「机倒したくらい気にすることじゃないよ。早見君が大丈夫ならそれでいい」
また少しだけ、近づいた。早見君は僕と距離が縮まるのが嫌なのか、また後ずさろうとする。けど机が背中に当たって、それ以上は下がるのをやめた。
「早見君、どうしてこんなに早く来たの……? 何か、あった?」
「僕、今日は、委員会で、そのっ、えっと、花の水やり……」
「そうなんだ。でもどうして僕の机の所にいるの? 君の席は、僕と反対のところにあるのに」
少し言い方が強かったかもしれないと、後悔した。それでも彼が手に持っている何かが、近づいてチョコだと分かったから。それを僕の机に入れようとしていたってことでしょ? ……僕と、同じじゃないか。
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