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同じ気持ち(5)
キョトンとした顔で僕を見上げる早見君に、こつんとおでこをぶつけた。すりすりと鼻を合わせ、それから頬にキスをする。やっと泣きやんでくれた早見君は、今度は顔を真っ赤にして何が起こったのかと慌て始めた。
「ひむ、ひむら、くん!」
「早見君と僕って、同じだったんだね」
僕は抱きしめるのをやめ、早見君からチョコを奪った。そして、僕が作ってきたチョコを、早見君に押しつけた。
「え……?」
「僕は今日、君にチョコを渡したくて早く来たの。バレンタインに、大好きだよって気持ちのこもったチョコを、直接は渡せないから。こうして早く学校に来て、こっそり机の中に入れてしまおうって思ってた」
「日村君、」
「そうしたら君が僕の机の中にチョコを入れようとしてるんだもの。それの何を気持ち悪いと思う……? 僕はね、すごく嬉しかったよ」
大事に食べるね、そう言って早見君に笑いかけると、せっかく泣きやんだのにまた、わーっと泣き出してしまった。ゴシゴシと目をこする。そんなことしたら腫れてしまうと、その手を掴み、僕は溢れ出る涙にキスをした。
「日村君、これは夢、なの……?」
「どうして?」
「だって、こんな、嬉しいこと、夢じゃなきゃ……っ、」
「夢じゃないよ」
早見君の唇に、自分の唇を合わせた。柔らかくて、気持ちがいい。一度離したのにまた、すぐに唇を合わせた。それを何度も繰り返す。ちゅっと軽いリップ音が響いた。
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