109 / 230
同じ気持ち(7)
いっぱいいっぱいキスをした。そしてやっと、ここがトイレだったと気づいてくれた早見君の手を引いて教室へと戻り、まだ誰もいない部屋の隅で、二人でチョコを食べた。
「寒いね」
「……そうかな? 日村君の隣、温かいよ」
ぴったりと肩を寄せ、早見君が僕にもたれかかる。僕は肩に手を回し、もっと自分の方に引き寄せた。早見君の匂いでいっぱいになる。心が、ほっこりした。
「ねぇ、日村君」
「なぁに」
ふわふわの髪の毛に指を絡めて遊んでいると、早見君が僕を見上げた。上目遣いのその目が、潤んでいてとても愛らしい。早見君はどこまでも可愛いな。
「緊張しちゃうから時々しか話しかけられなかったけど、本当はたくさん話したかったんだ。……こんな日が来るとは、思わなかったなぁ。日村君が、隣にいるなんて」
照れて顔が熱くなる、って、早見君がパタパタと手を振って頬に風を送る。僕はその手を掴み、ぎゅっと握った。
「僕だって同じだよ。今日がこんな素敵な日になるとは思ってなかったし、これからはもっと素敵になるんだと思ったら、嬉しくてどうしようもなくなるよ。早見君の顔見てるだけでにやにやしてくる……」
そう言うと、早見君が笑った。僕もにやにやしちゃうって、やっぱり愛らしい顔で。
「……ねぇ日村君。やっぱりこれは夢なんじゃないかな?」
それなのに、またこうやって誘うようなことも言うから。
「じゃあまたキスして確認しようか?」
「……お、お願いします」
ふふっとお互いに笑って、唇をぶつけた。
END
ともだちにシェアしよう!