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バカ+可愛い=?(2)

「あ?」 「や、可愛い子がさ、少しずつ食べてるのはいいんだけど、どっからどう見ても男のお前が、その小さなブラウニーをちびちび食べてるのは無理」 「……はぁ? 別に可愛さとか求めてないですけど?」 「俺もお前に可愛さは求めてないよ」 短く切られた、爽やかな印象を与える髪型。キリッとした眉に、切れ長の目。そして目の下にあるほくろ。黙っていればけっこうな男前なのに、コイツがモテないのはバカだからだろうな。 「あーでもさ、このほくろはちょっと可愛いと思わねぇ?」 「……は、キモ」 喋るとバカさが溢れ出るから。そこで友だちに位置付けられてしまうんだ。宇佐はモテたいモテたい騒いでいるけれど、それだけのルックスでモテないのだから、中身に問題有りって気づくべきだろ。俺もこうして相手をしていて、たまに疲れることがあるくらいだし。 「歯と唇に付いてる。口ゆすいでこい」 「唇に付いてる? 取って、」 ん、とまるでキスを待っている顔をする。突き出された唇の端には、チョコが付いていて。取ってあげればいいのだろうけど、何となくそうしたくない。 「無理」  「えー、取ってよ。それとゆすぎに行かなくても、お前のそのペットボトルのお茶を飲ませてくれたらいいじゃん」 仕方ないと宇佐は、自分の手で唇についた分を払った。ポロポロと落ちていき、俺の机に乗る。それをどうにかしろと睨むと、ごめんと軽く笑って、今度は床に落とした。……おいおい。 「お茶、飲ませてよ。俺が今日、飲み物忘れてきたの知ってるだろ?」 「やだよ。何か汚いし」 「そこまで言うか? ……さてはお前、俺との間接キスに照れてるな?」 「嫌悪感しかないけど」 「ひどい!」

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