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バカ+可愛い=?(4)
「ほんっと、可愛くないよなぁ」
「だから可愛さは求めてないって言ってんだろ」
「……今はさっきのとは違う意味だよ」
「はぁ? 意味分からん」
「バカだもんな」
今すぐ購買部に行って飲み物を買ってこいと、さっきは取り上げたペットボトルを押しつけた。ついでにそのゴミも捨ててこいって付け足して。だけど、今日はお金も忘れたんだとそう言って宇佐はまた笑う。
それにまた腹が立つも、どうしようもないから。ここは俺が一つ大人になって許してやろうじゃないかと諦めてため息をついたその時、 誰かに名前を呼ばれて肩を叩かれた。目の前の宇佐が、「あっ」と小さく呟き俯く。
「……ん?」
どうしてそんな反応をするのかと不思議に思いながら振り返ると、後ろにいたのは白鳥さんだった。そこで宇佐の反応の意味が分かった。白鳥さんが俺に好意を抱いているって言うのは、俺たち男子の一部の中で噂になっていることだったから。バレンタインのこの日にこうして滅多に来ない俺の所にやってくるというのは、つまりそういうことなのだろう。
「成瀬くん、チョコ……作ってきたの。良かったら食べてください」
「あ、あぁ。ありがとう。いただきます」
「それでね、その、お手紙入れてるので、えっと、お返事くれると、う、嬉しいです……!」
「あー……うん。分かった」
「ありがと……!」
ぺこりと頭を下げて、白鳥さんが席へと戻っていく。足音が遠ざかったのを確認してから、宇佐が顔を上げた。そうやって気を遣うくらいなら、ゴミ捨ててくるってペットボトル持って席外せば良かったのに。……って、そこまで気が回るわけないか。
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