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嘘? 本当?(6)
「何食べる? お好み焼き美味しそうだな」
「俺はドリアがいいかなぁ」
黒沢の家の前にあるコンビニに寄った。思っていたよりもけっこうな品が残っていて選びたい放題だったけれど、俺は大好きなドリアを選んだ。
「矢田はドリアか……。可愛いね」
「何だよ、お子さまだってバカにしてるの?」
「誰もそんなこと言ってないじゃん。でも矢田、自分でお子さまだって思ってるんだ?」
「そうやって言われたら何も言い返せない。黒沢、俺、怒ったからな。……アイス買って」
「矢田の機嫌はそれで直るの? 面白すぎ。何個でも買ってやるから持っておいで」
膨れながらドリアを黒沢が持っているカゴに入れ、それからアイスのケースへと向かった。前から気になっていたアイスを買ってもらおうと手を伸ばしたけれど、二度見してしまうくらいの値段だったから、手前にあった安いアイスにした。あの量であの値段は高すぎる。でも絶対においしいんだろうな。
「え? アイスこれでいいの?」
「……うん」
取ってきたアイスをカゴに入れると、黒沢がぽかんとした。高いアイスを持ってくるとでも思ったのだろうか。さすがに俺もそこまで我が儘はできない。
「買ってって自分から言ったわりには、遠慮しちゃったんだな」
「別にそういうわけじゃ……」
「まーた嘘ついてる。俺さ、矢田の考えてることは、分かる言っただろ?」
“やっぱり可愛いね”って、黒沢が笑う。
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