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愛……?(5)

太田は笑いながら、今日の卵焼きも最高だったと言った。何も考えてなさそう頭で実はちゃんと考えていたとか、それは予想外ですごいけれど、そんなギャップは別に萌えないからいらないと、そう言ってやろうかと思ってやめた。 「……お前、意外と男だったんだな」 「そうだろ、だって付いてるし」 「いや、そうだけど……ってそうじゃあなくて! ……で、それはまじで言っててまじなんだよな?」 「三浦ネジ飛んだ~? 日本語大丈夫~?」 「お前に言われると腹が立つ」 「……愛だよ、愛。辻のこと好きだよ」 珍しく、かっこいい顔をして笑った。元々は顔の偏差値が高いんだ。へらへらしていなかったら太田はただのイケメンなわけで。ちょっとそのギャップは別に萌えはしないけれど良いんじゃあないのってどうしてか気に入らない。悔しい。 ぎりりと睨んでいると、また、いつものへらへらした顔に戻った。どうやら辻が戻ってきたみたいだ。 「辻~! お帰り~!」 「あ、委員会終わったんだ。お疲れ」 「辻に会いたかったよ~。安井っちめっちゃ怖い~」 「よしよし、頑張ったね」 「辻~、ぎゅってして~」 「お前たちさぁ……」  応援したいと心から思った。友人として何かしてあげられることはないかと、二人を見てきた俺だから、そんなことを考えた。だけど撤回。付き合い始めたらコイツらのイチャイチャ度はどうなるんだ? 辻が愛だと認められたら、太田への優しさはもっと深まるだろう。 「……俺、ますます立ち位置分からなくなりそう」 とりあえず次何か腹の立つことが起きたら、容赦なく卵焼きを奪ってやろうと、密かにそんなことを考えた。 END

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