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こんな展開、望んでなかった! 続編(1)

(あまね)に公開処刑のような告白をされてから一ヶ月。俺は周と付き合うことを認めたわけではないけれど、あの発言のせいで自分の首を絞めてしまったのだから逃げることもできず、大人しく周の恋人になっている。 『……お前が犠牲者だって言うその女子の分も含めて、今日からたっぷり可愛がってやるな』 何だかんだで冗談だろうと油断していた周のこの台詞も、毎日本気だと思い知らされていて、どうして平凡な俺がこんなにも美形の周に可愛がられているのかと戸惑っていつも心臓が痛い。 俺の名前を呼ぶ周の声はとても甘いし、相変わらず飴玉を持っていてそれで餌付けされそうになるし、教室の中だとかそんなのは一切お構いなしに俺を膝に乗せては後ろから抱きしめてくる。周に、いい匂いがするなぁって耳元で囁かれると、ぎゅうっと心臓が掴まれるようで体がウズウズしてきて、どこかに隠れてしまいたいと恥ずかしくてたまらない。 クラスの女子の視線は痛いし、前と比べて女子の先輩たちがたくさん見に来るようになった。周が「俺には裕樹がいるから」 と告白を断るようになったせいで、「周くんに想われている裕樹とは誰だ?」と話題になり、減らない周への告白に加えて俺に好奇の目が向けられるようになった。それなのに周はやっぱりその状況には興味を示さず、俺に構ってばかりだ。 「騒がれるから人前ではやめて」と伝えても「別にいいだろ?」って俺に触れるのをやめてはくれない。「たくさんの人に見られてるよ」と泣きそうになりながら訴えれば、「俺には裕樹しか見えてないから他はどうでもいい」って、レモン味じゃなくて俺の大好きな苺味の飴を口に入れてくる。 入れられてしまったものは仕方がないからと飴をコロコロさせながら睨めば、周は満足そうに笑った。 「ふざけんなよ……」 俺の想像していた高校生活はこんなんじゃなかった。平和に過ごしたい。周と付き合うことになる前もなった後も、結局落ち着けない日々を過ごしている。早く何とかしなければいけない。何か良い作戦があるわけではないけれど、俺の頭はその思いでいっぱいだった。

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