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こんな展開、望んでなかった! 続編(3)

何が起きているのかと頭の中を整理しようにも、俺がモテ始めているという事実が離れず、どうしたって冷静にはなれない。 だって、まさかだろう? 今まで先輩がクラスにやってくるのは全て周が目的だったというのに。信じられないことに、この先輩は俺に会いに来て、俺に付き合おうと言ってきて、さらにはまだ他に俺のことを気になっている先輩たちがいる、だなんて……。 「周くんにいじられている裕樹くんが可愛い」という言葉の「周くんにいじられている」が多少引っかかるものの、これまでモテるということが一度もなかった俺にとっては、その引っかかりよりもやはり嬉しさのほうが大きい。 「……あ、もうすぐ授業始まる。じゃあ私は教室に戻るね。良かったら返事、考えててほしい。また放課後、裕樹くんに会いに来るから」 「……あ、あのっ、」 「じゃあまたね」 「あっ……」 ぱたぱたと走って行った先輩の背中を見ながら、俺は緩む口元を隠した。俺の高校生活、まだまだ捨てたもんじゃあないぞ。平和に過ごすことは叶わなくても、可愛い彼女ができてハッピーラブラブライフは叶うかもしれない。周に振り回されずに、普通の高校生らしく過ごせる可能性はまだ残っている。 「ふ、ふははっ」 我慢できなくなって、思わず笑い声が漏れた。ハッと口を押さえると、俺と先輩のやり取りを見ていただろうクラスの女子が俺を睨んでいた。それはそうか。自分の好きな周は俺に構っているから今まで以上に相手にされなくなってしまったのに、最悪で憎らしい対象の俺が先輩にモテ始めてこんなに浮かれていたら、そりゃあイライラも募るに決まっている。 いや、待てよ。俺が先輩と付き合えば、女子たちにとっては嬉しいことじゃないのか? 周と俺の関係が崩れるのだから。 ん? でも周のせいで勝手に付き合っていることになっていて、今俺は周の恋人なわけで、それなのにこうしてデレデレしていれば、それは浮気的な扱いをされるのか? だから睨まれてる? 「裕樹、ただいま」 「ひっ!」 「何でそんなに驚くんだ?」

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