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こんな展開、望んでなかった! 続編(9)

……どうしようもないバカだ。 利用されていたかもしれないことが悲しいんじゃなくて、周が俺を好きじゃないかもしれないことの方が悲しくてたまらないだなんて。 何でこんなことを考えているんだろう。今のギスギスした関係よりも、甘やかされている時の方が良かったと、確かにそう思ったけれど、それが本当の好意からではないと考えたら、無性に泣きたくなってきた。 好かれてないのならいいじゃないか。周に対するキャーキャーうるさい騒ぎもなくなってきたし、周が俺を利用しているだけなら今すぐこの関係をやめて自由になることもできる。もう騒ぎを落ち着かせられる目的は達成されたわけだし、周が俺を構う必要はなくなるのだから。 「意味分かんない……」   泣く必要がどこにあるっていうんだ。おかしくなってしまったのかな。 トイレに行くつもりだったのにもうどうでもよくなって、俺は教室に戻ることなく一人になれる場所を探した。 すれ違う人に変な目で見られるかもしれないとか考える余裕はなくて、この時間誰も使っていなさそうな準備室を見つけそこに入った。教室の窓側の隅に膝を抱えるようにして座り込むと、そこの埃っぽさにせき込んでさらに涙が出てきた。 「最悪……」 目を瞑り真っ暗な世界の中で、もしかしたら周が俺のことを探してくれるかもしれないとほんの少しだけ期待したけれど、しばらくしても準備室のドアが開けられることはなかった。 ごっこでも付き合うことになった時は、どこに行くにしろ周が一緒で、トイレだって一言言わないと行かせてもらえなかったくらいなのに、あれ以来一人の時間が増えたし、今こうして授業をサボってここにいるのに探しにも来てくれない。 「保健室行こ、」 どうせサボるのならこんな汚い部屋は嫌だ。とても疲れたし、ベッドで寝たい。 俺は立ち上がってお尻の砂埃を払うと、保健室へと向かった。

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