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こんな展開、望んでなかった! 続編(10)

保健室のドアを開け入ると、先生に体調が悪いから寝かせて欲しいと頼んだ。サボりじゃないの? ってうるさく確認する先生だと聞いていたけれど、顔色が悪かったらしく寝かせてくれた。 ベッドに寝転ぶとすぐに瞼が重くなったのに、どうしても眠れなくて何度も寝返りを打った。ずっとそれを繰り返していると三十分程経ち、授業終わりのチャイムが鳴った。周は相変わらず来てはくれないし、あの女子の顔も見たくないしで、もう一時間だけ寝かせてもらうことにすると、今度は何だか眠れそうな感じがして、動くことなくじっとしたまま目を閉じた。 ◇ 誰かに揺すられ目を覚ますと、教室に夕日が差し込んでいた。どうやら午後の授業はずっと寝てしまっていたようだ。そんなことを思いながらまだ少し重い瞼をこすり、揺すって起こしてくれた相手を見れば、よくある展開はなく保健室の先生だった。 「ずっと寝てたんですね。ごめんなさい」 「後から来て隣で寝てた子よりもずっと寝てるんだもの。その子はちゃんと起きて午後の最後の授業は参加してたみたいだけれど、あなたは全く起きずにずっと寝てたわよ。帰ってちゃんと体休めなさいね」 嫌みなのか心配なのか分からない言葉をもらい、まだぼんやりとしたままの頭で起きあがった。そして寝起きでふらふらした足取りで歩きながら、最後に先生に礼をして保健室を出た。 「……あ、」   「大丈夫か?」 ドアを閉め、鞄を取りに教室に向かおうとした時、目の前に周が立っていた。ずっと追いかけて来て欲しかった周を前にして、どうしようもなくホッとした。周は、肩には自分の鞄をかけ、手には俺の鞄を持っている。周がお揃いと言ってくれたキーホルダーが、二つの鞄に付いていた。それを見ると、また胸がざわざわし始めた。 「……大丈夫じゃない」 「どこか痛い?」 「周は、俺のこと好き?」 「え?」 帰る時は必ず、周から繋いできていた右手は今、俺の鞄を持っている。だから左手をぎゅっと握った。初めて自分から周に触れた。戸惑いが手から伝わる。今までそれは、俺が周に伝えてきたものなのに。

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