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こんな展開、望んでなかった! 続編(11)
「周は、俺のこと好き?」
泣きそうになりながら聞けば、周も泣きそうな顔になった。
「……すげぇ好き」
「本当に……?」
ぎゅうっと力を込めれば、その倍の力で握り返された。強い力だけれど、痛くない。優しさのある温もり。ボロボロと涙が溢れ出した。これが嘘なんて嫌だ。
「……急にどうしたんだよ」
「だったら何で、あれからキスしてこないの……? 一度も好きだって言ってこないんだよ……」
言いたいことを言い終えたら、またどっと涙が溢れた。さすがにみっともないからと拭こうとしたら、俺の鞄を廊下に置いた周がその手で自分の胸の中へと抱き寄せた。久しぶりに周に抱きしめられて、我慢できなくなって声をあげて泣いた。
「キス、して良かったの? 好きだって言って良かった? 裕樹、俺のこと好きになってくれたの?」
「ひぅ、っ、」
「無理矢理自分のものしたって自覚あったから、キスして本当に嫌われたくなかったし、好きだって言うと裕樹に対してどんどん我慢できなくなりそうで言えなかった」
繋いでいた手を離し、周は肩から鞄をおろすと、両手で俺を思いっきり抱きしめてくれた。そう言えば正面から抱きしめられたのは初めてかもしれない。ぐずぐすしたまま俺も周の背中に手を回した。今までよりもずっとずっと温かい。
「なぁ、裕樹。俺のこと好きになってくれたの?」
「……わ、かん、な……いっ、」
「分かんないって……。こんなに泣くくらいなら、めちゃくちゃ好きだろ。ばか裕樹」
「うぁ、っ、ひ、」
「はぁ……。あの時怖がらせてしまったから、ここ最近お前に触れなくて。裕樹、温かい。いい匂いする。……好き」
「……ふっ、く、」
頬を伝う涙を舐められる。しょっぱいなって笑いながら今度は瞼にキスをされ、照れから段々と体が熱を帯び始めた頃、二度目の唇へのキスをされた。まだ少し不安の残る軽いキス。だから背伸びをして、自分から三度目を口づけた。
「裕樹、ここ保健室の前だった」
教室では構わず抱きしめてきていたくせに、と反論しようとしたものの泣いているせいで叶わず、無言で周を見つめると、「まぁ今さらか」とまたキスをされた。
END
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