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明日からまた。(1)
「お前、いつもここで食べてんの?」
「……いえ、たまたまです」
「いいや、いつもいなくなるからどこに消えたかと思ってたんだよ。ここにいたのか」
昼休みになり、俺はわざわざ近くの公園までやってきていた。さっきまで慌ただしく仕事をしていた場所でお昼を食べる気分にはならないから。そうして、やっとゆっくりできるとベンチに座って持ってきたお弁当を広げようとしたところで、なぜか隣に先輩の保坂 さんが座ってきた。
どうしてまたこの人は、こんなところまで来て俺の隣に座っているのか。まさか、ついてきた……?
たまたまにしてはおかしな話だし、俺に何か用事があってここまで来たのだろう。はぁ……。ずっと隣に座って作業しているのに、仕事から解放されるこの昼休みまで隣に来られるのは、常に気を張っていなければならない仕事中の感覚が抜けなくなって居心地が悪い。
ここ最近は作業が多くてうんざりすることだらけで、そんな中で失敗をしたらさらに大変なことになるといつも以上にピリリとした気持ちで仕事に向き合っているわけで、そしてそれはこの保坂さんと協力してやらなければならないことだって多いし、しかも常に隣にいるわけだから電話での応対の声さえもBGMのように耳に入ってくる。
仕事と保坂さんを結びつけて考えることは自然なことで、だからこの先輩を見ると気分が悪くなるのも仕方がないことなのだ。
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