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明日からまた。(3)
「おまっ、いいじゃねぇか別に。あと一個あるんだから」
「らめれす……!」
「食べ終わってから喋れ。何言ってるか分かんねぇよ」
分かってるくせに! と反論したかったけれど、言われた通り口の中の唐揚げがなくなるまで食べることに集中する。少し大きめのこの唐揚げはいつもは二口で食べるのに、保坂さんのせいで今日は一口になってしまった。それに、ふりかけも何もかけていない白ご飯と一緒に食べたかった。
「お前さぁ、いつも弁当だよな。見られたくなくてわざわざ公園まで来てんの?」
唐揚げを食べ終わりやっと口がきけるようになった俺に保坂さんはそんなことを言った。今日は手抜きしたお弁当だから見られたくないと恥ずかしがる女子ではあるまいし、そんなことをいちいち気にするはずはないのに。何を言っているんだ?
「そんな子どもみたいな理由でわざわざ公園まで逃げませんよ」
「ふぅん。あと、お前って実家暮らしだっけ?」
「いや? 違いますけど……」
「じゃあその弁当は? 彼女にでも作ってもらってんの?」
「え?」
どうして突然彼女の話に、と思ったけれど繋がった。保坂さんは俺が、親に作ってもらった、もしくは彼女の手作り弁当を持ってきていることがバレるのが恥ずかしいと、そういう理由でわざわざ公園に来て一人食べていたと考えてたって、そういうことだな?
いつもはそんなに真面目君だと彼女もできないだろうし、できてもすぐに愛想尽かされるぞと、俺をからかってくる先輩なのに。そんな単純な考え方をしていると見えることも見えなくなるぞと、うるさくダメ出ししてくるところもある先輩なのに。
……お弁当イコール彼女の手作りだと思い込む単純さもあったんだ。
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