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いつまで待たせるの?(5)
そういうわけで、今日も同じベッドなわけだ。
先週も同じベッドで寝た。義明にも新しく布団を用意するなと言われたし、義明ん家は客用布団があるから交代で泊まるなら、まぁ月に二回くらい我慢すればいいかとそう思っていたけれど。さすがに何週も続くと俺も限界というか。
そりゃあ大好きな奴の近くにいられるのは嬉しいよ? 寝顔とか無防備な状態って、気を許してもらえているんだって嬉しいし。でもさ、やっぱり色々と気になるじゃん。触れようと思えば触れられる距離に義明がいるのだから。
「おい、義明。いったん起きてスーツを脱げ」
顔を少しだけ上げて、義明が俺を睨みつける。
スーツがシワになるからって、人が親切に声かけしてやってるのに、全くこいつは。無理に起こしてでも脱がせるか。
そう思って手を伸ばした時、ふとある考えが頭を過ぎった。
……別にスーツがシワになったっていいじゃあないか。このままソファーに寝かせておけばいい。
「……!」
我ながらすごくいい考えだと思った。そうすれば俺は一人でベッドで眠れるしな。それに今日の義明はいつもに増して可愛いから。今日こそは本気で一緒に寝ることになればヤバい気がする。
伸ばしかけた手を戻し、俺は自分のスーツをハンガーにかけてクローゼットに片づけた。
さてと、シャワーでも浴びるか。俺は朝に洗濯して干しっぱなしにしていたバスタオルに手を伸ばした。
「うおっ!」
その時、突然義明がソファーから起き上がり、さっきまで寝ぼけていたのが嘘だったかのように、俺からそのタオルを奪うと、風呂場へと行ってしまった。
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