226 / 230
いつまで待たせるの?(7)
「んっ、」
起きている……? でもそれならばどうして?
起きていても起きていなくても違和感のある状況だ。
そして今は夏で、いくらタイマーでエアコンをつけているからといっても、密着すればそりゃあ暑くもなる。そのせいか、時折声を漏らすが、その声がとてもいやらしい。
唇が俺の肩に触れて、漏れる吐息の熱も肩に感じる。
なんてことだと、思っているうちに、俺の下半身に熱が集まりだした。
「……っ!」
もし本当に寝ているのならば起こしては可哀想だとそんなことを思っていたが、もう限界だ。
暗闇にも慣れてきて、ぼんやりと義明が見える。俺は義明の肩を掴み、無理矢理引き離そうとした。
「義明……!」
けれど、離れてくれない。足だけじゃあなく、かなりの力で俺の腕に自分の腕を絡め、絶対に離れないとでも言っているかのようだ。
迷っていたが確信に変わった。コイツ、ずっと寝たふりをしている。
「義明、」
「……っ、」
「おい、離れろって、」
肩を押してもどうにもならないから、俺の腕に回されている義明の腕を掴んだ。離そうと引っ張るも、俺が力を入れただけ、義明の力も強くなる。
「義明! 離れろ!」
「……やだ、!」
「てめぇ、ふざけんなよ」
だんだんと腹が立ってきた。こいつは何がしたいの? 俺の気持ちを知っていてやってるのか?
そう思ったら自然と手が伸びて、俺は義明の前髪を思いっきり引っ張った。
「……った!」
「だったら離れろ! んだよ、急に!」
「いや、だ! 俺、ふざけてない、よ……」
「は?」
「ふざけて、こんなこと、するかっての、」
ともだちにシェアしよう!