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いつまで待たせるの?(8)
「……いつまで、我慢させんの、」
「え?」
「頑張ったのに、これでもダメなのかよ、」
「は?」
「そんなに、魅力ない……?」
泣いてるのか、怒ってるのか、よく分からない声のトーンで義明はそう言うと、手足を絡める力を弱めた。つられて俺が髪の毛から手を離すと、義明は完全に俺から離れ、起きあがった。
それから体を丸め、顔を隠してしまう。
「義明?」
「何でまたお前ん家かって」
「え、」
「お前ん家だったら、一緒に寝られるだろ、」
「……っ、」
絞り出すような声でそう言うと、義明はシーツを握りしめた。目は慣れたものの部屋は暗いからはっきりと見えているわけではないけれど、その手が震えているように思えた。
「なのにお前、いっつも俺に、背……向けて寝るし」
「……それは、」
「飲んで、楽しくおしゃべりして。……俺、それだけじゃあ嫌だよ、」
「義明、」
「お前は俺のこと、好きじゃないのかよ……っ、」
「義明!」
俺も体をベッドから起こし、義明を抱きしめようと手を伸ばした。突然の告白に、心臓が飛び出しそうな程うるさく動いている。
いくら仲良しだからって、まさか義明が俺のことを好きだとか、そんな都合のいいこと考えられないだろう? 一方的な想いだとそう思っていたのに。
腕に触れると、義明が顔を上げた。暗がりの中光っている涙だけは見える。
「義明……」
その涙に胸がぎゅっと締め付けられた。
義明の想いが加わった分の、痛み。俺は義明が折れそうなくらい、強くその体を抱きしめた。
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