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第20話

「……ん、んぁ、ふっ……ぅん……」 「ほら、口が休んでるよ?」 会陰を舌を這わせ、愛液を垂れ流す後孔に舌を這わせて、時には舌が出入りしている状態で、気持ちよすぎて身を捩りながら、つい背が反ってしまい、ペニスから口が離れてしまう。 「あぁん!!……ぃぃ……はぁ……んッ……おね……がっ……も……欲し……」 「いいよ?上に跨って?今日は自分で動いてみようか?」 意地悪そうに笑う樹を恨めしそうに見てから、ノロノロと動いて、彼の上に跨り、ペニスを後孔に宛てがう。ゆっくりとそれを飲み込んでいく……僕よりも大きいそれに中が圧迫感で苦しさを感じるも、大きく出っ張ったカリが通り抜けた場所はすんなりと入っていくのだが、なかなか奥へとたどり着くことなく、待ち侘びたように締め付けていく。 「それって遊んでる?まだ、オレ、半分しか入ってないんだけど?自分だけ気持ちよくなっちゃってるの?それってズルくない?オレも気持ちよくなりたいんだけど?」 腰を掴んでズンと一気に突き上げられた 「……ぁ……はっ……」 圧迫感と快感が同時に背筋を駆け上がっていく。上半身が後ろに反る。見開かれた眸からはポロリと涙が落ちるが、その眸には何も映されていない。 強いて言うなら星がチカチカと、光っているような、強烈な感覚がつきぬける。 「……ッ……中、すごいことになってるよ?」 「……やっ、あぁん、はぁ……ッイィ……」 樹のペニスが入ってきただけで、理性が飛んでしまう……もう、快楽の渦に飲まれて自分が自分でなくなってしまうような錯覚に陥る。 この瞬間だけは、この男を好きだと思ってしまう程に気持ちイイ……ただ番になることだけは嫌だ…… 勝手な言葉だと思う。セックスをしても心は渡さない……けれど、この先、発情(ヒート)を起こさないように生きていきたい。この苦しさを何度も経験するのは嫌だ。番になっても、番に対してはヒートを起こすのかと思うと…… それが仕事相手となったら、どうなってしまうのか……?それが怖いのもある。 発情さえしなければいい。こんな獣のような、本能だけのセックスなんていらない…… けれど、今はこの瞬間に溺れる。愛があろうが無かろうが、動物としての本能に従う。 「……雅……雅……愛してる……」 切なそうに呼ばれる名前。 「……オレから離れないでくれ……」 思考を読まれたかのように紡がれる言葉。 「……あぁぁ……んッ……やぁん……」 まともな言葉など紡げないほど激しく突き上げながら、愛を囁く。上半身を支えてることすらままならなくなって、そのまま倒れ込むと胸と胸がくっついて、抱き合う形になる。 体の位置を変えられ、脚を大きく折り曲げた状態で、キスをしながら、動きは変わらない。しつこいほどに激しい交尾はなかなかに長い。 躰の相性的には良くないのだろうか……? すでに自分の腹には何回目かも分からない白濁が飛び散っているのに、全然イク気配がない。声が枯れるかと思うほど喘がされ、キスを強請る頃には完全に僕の理性はなくなっている。 けれど、そんな時にでも番になりたい、と告げても首を横に振る、と樹は言う。 長い長い射精の後、僕は満足気な表情で眠りに落ちる、とは聞いている。 確かに発情時のセックスは気持ちイイことには変わりない。 そうして僕はまた、ひとり充足感に浸りながら深い眠りに落ちていくのだった。 樹の想いもわからないまま……

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