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第55話

「今だけの愛ならいらない……永遠の愛を誓ってくれるなら、僕は全部を貴方にあげる……」 思っていたことがつい口に出てしまった…… 僕の躰を唇で、手で貪り、激しく打ち付けていた腰の動きが一瞬止まる。優しく髪を梳き、 「もちろんだよ……出会えないと思っていた、オレの『唯一無二』の『運命の番』なんだから当たり前だろ?やっと頷いてくれたんだ……絶対に手放すもんか……泣かすもんか……一生をかけて大事にする……」 ――涙が出そうだった……一生涯、そんな相手に出会うことは互いに無いと思っていた…… そう言って強く抱き締めながら、腰の動きを再開する。それに応えるように首に腕を回し 「……僕も……もう……樹以外には抱かれたくない……」 と耳元で告げる。 「……噛みたくなるから、あまり煽るなよ……これでも理性を総動員してるんだから……」 噛んでもらいたい……その気持ちがない訳でも無い。ただ、まだ、僕の躰が無理なのだ。大山とも打ち合わせたい。βと違って、Ωの妊娠期間は短い。特に男性体は長い妊娠期間に耐えられないのか、βより早く出産期を迎える。 玉妃さんは今すぐにでも妊娠させたいらしいが、大山の希望に寄り添ってくれている。 すでにベビー服、子供服のブランドを立ち上げて、準備段階に入っているらしい。大山が妊娠するのと同時に売り出しを始めるとのことだ。まだ、大山の許可の降りるベビー服がデザインされてないことも理由の一つだ。 大山は生粋の女好きだが、相手の玉妃さんもそれは同じようだった。だから子供も女の子しか考えてないが、うちが男を産む前提で話が進んでいる。 『あたしと玉妃の子供が中途半端な番を選ぶわけが無い。うちは女世帯になるだろうね〜女しか産まれないだろうし』 と勝手に決めつけてケラケラと笑っていた。 今はそんな先の話より、目の前の自分のことで手一杯だ。妊娠は出来ない……でも、今は発情 (ヒート)で高められた躰を静めてもらうしかない。 「まだ、言ってもらってない言葉があるんだけど?こんな時じゃなきゃ答えてくれそうにないから、言って?」 「……好き……もう、樹なしじゃ生きていけない……僕の……全てをかけて愛してる……」 確かにこのシチュエーションじゃなきゃ、僕には言えない言葉だったかもしれない。 「はっ……あぁっ……やぁ……急……に……」 『言え』と言ったのに、言ったら言ったで、加速するのはやめて欲しい…… 苦しいほどの突き上げに呼吸がついていかないほどだ。悲鳴のような叫びを上げるが、芸能人のマンションだけあって、どの部屋も防音はバッチリのようだった。快楽を逃す術がなく、シーツをギュッと握りながら、眦から愉悦の雫がこぼれる。眸を開いていても、なにも映さず、ただ、ただ、揺すられるだけだ。 「……も……やっ……イッ……ク……」 その言葉と同時くらいに果てると、きつく絞るように内壁がうねり、樹の雄を締め付ける。樹もクッ、と息を吐いて、吐精に入る。ノットも出ている。これから長い吐精の始まりだ。βは長く感じるらしいが、Ωにとっては、それも快楽のひとつだ。熱い飛沫が奥に当たる度に、躰が蕩けるような感覚になる。もちろんレイプの時ににはその感覚はない。 20分~30分かけての長い射精の間、αとΩは何故か無言でキスをしたり、愛撫をしたり、と無駄話はしない。Ωは特にそれだけでドライでイキ続けてるのと同じ感覚になるから、言葉をはっすることなく、αから搾り取るように内壁がギュッと締め付けているし、αもノットが出ているから、抜けばΩを傷つける。 けれど、この瞬間にヒートの息苦しさから開放されることが一番の理由かもしれない。お互いにイキッぱなしの状態になるから、快楽が長い 意味をなさない言葉がひたすら口から流れ出るだけだ。 「はぁん……あっ、あぁ……はぁ……あぅ」 吐精が終わると同時に萎える間もなくまた樹の腰が揺れ出す。もう、ヒートは治まっているのに…… 「……も……休憩……やぁん!!」 「悪いな……オレも……溜まってるんだよ……歯止めが効かない……」 だから……そんなエロい声で言うのは狡い……

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