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第95話

ゆったりとパジャマを脱がされながら、焦れったいほどの愛撫に今夜は眠る気がないのを悟る、背中を滑っていた指が後孔に触れると、もうすでにぐっしょりと濡れて、その指を簡単に飲み込んでしまう。まるでヤルだけの為にそんなになっているのかと思うと、恥ずかしさと喜びが入り交じった複雑な心境になる。 複数入った指が広げるように動きつつも前立腺を強く擦り上げ、射精感に追い上げられる。 「……やっ……指だけ……で……」 「イキそうなの?本当に雅は可愛いなぁ……もっとたくさん気持ちよくなって欲しいのに」 グッと樹の勃ちあがった自身を握り 「コレじゃないと、イキたくない……」 「オレも雅の中でしかイキたくないよ?もう入れてもいいの?」 「……早く……欲しい……」 「正直な雅も大好きだよ?」 樹はそのまま指を抜き熱い塊がゆっくりと僕の中に侵入してきた。 ――このまま一緒に溶けてしまいたい…… 「んぁ……んっ……あぁん!!フッ、うぅん」 昼間に疲れるほど遊ばせたかいもあり、浬はぐっすりと眠っている。僕は樹に揺さぶられながら甘い声を上げ、その快楽に溺れていた。 「……すごっ……そんなに締め付けたらすぐにイっちゃうよ……イッても、止めないけどな」 「うぅ……そう……だろ……ね……あぁん、アッ、イイ……もっと……もっと……奥に……」 僕の後孔は愛液でグチャグチャに溢れかえって迎え入れてるそこからは、樹が動く度にいやらしい音を立てて樹の腰をスムーズにしている。 「……すげぇ……中……ヌルヌルでうねってるよ?もっと激しくって言われてるみたい……はぁ……きもちい……オレの手の中で雅の乱れた姿を見ながらセックスしてる時が1番『オレの雅』なんだって実感する。愛してるから……」 ――僕の言葉を気にしているのだろうか? 『セックスは愛情を確認する行為』だと言ってしまったから……そしてこの一週間で、2人目の愛の結晶を作ろうとしている。 βの女性が月に2、3日しか確実に妊娠できる期間がないのに比べて、Ωは1週間に渡ってヒートを抑える為に精液を注いでもらわなければならないのだ。抑制剤が効く人もいれば、僕のように効きが悪い人もいる。番になった今は、前もって抑制剤とピルを飲むようにしている。薬を飲まないのは子作りの時だけだ。 αとのセックスはただでさえお互いがヒート状態に入ればαにはノットという瘤状のものが出来て簡単には抜けないようになる。そして長時間に渡ってゆっくりと精液を注ぎ込む。確実に妊娠させるため、とも言われているが、浬の時もそうだが、何回目のセックスで妊娠したのか、なんてわからない。受精したからと言ってその時の発情期が短くなるわけではない。 ただ、次の発情期が来なければ妊娠がわかる。その前に悪阻が始まるから、だいたいは発情期前にわかることだ。 男性Ωの妊娠期間は短い。だから悪阻やお腹の子供の成長も比較的早いのが特徴でもあり、その分体の養分を持っていかれるから、食事量も増える。でないと倒れてしまうからだ。浬の時に経験しているから、それは身をもって経験してきたことだ。妊娠して2ヶ月で僕の体重は激減した。食事量を変えてなかった所為だった。 空腹を訴えてても、仕事にかまけて普段と変わらぬ生活をしていたからだった。食事量を増やしても、さほど体重が増えるわけでもなく、出産をした後に元の体重に近い数値まで戻っていたが、授乳後は元の生活に戻ったのもあり、体重は完全に戻りきれてはいなかった。大山には羨ましい、と言われたが、女性βと男性Ωでは、やはり体質が違うのだ。それでも大山は努力して体重を戻そうと頑張っていたが、あまり効果はなかったようだった。以前よりふっくらした体には、以前のスーツが入らない、と文句を言いつつも、今の体型に合ったスーツを玉妃が用意してくれているから、仕事着に困ることは無い。 ゆったり目のマタニティもワンピースのようであり、それほどお腹の目立たない作りになっていてオシャレに作られている。僕には男性なので、お腹周りをカバーできるパンツを数着とお腹周りをカバーできるTシャツを用意してくれた。部屋着用にと短パンまでも、だ。いくら同時期出産でも、甘えてばかりのマタニティ生活は送れないから、とお金を出そうとしても受け取ってくれないので、菓子折を持っていった。玉妃は『いいのに……』と言うが、菓子折りには大山が大喜びをしてくれていた。これが1人目の時……浬を身篭った時のものだ。 「男性Ω用のマタニティも売り出す予定だから、それはサンプルなのよ。だから気にしなくていいのに……本当に悪いわね。気を遣わせて」 玉妃は僕のマタニティを見ながら、『悪くないわね』とつぶやいた。その後、きちんと販売に踏み切って男性Ωに人気が出たのは言うまでもない。 その時のものが使えるだろう、と思いながらも樹の首に腕を回し、キスを強請る。キスをしながら奥を突かれると堪らなく気持ちいい。 何も考えられないくらいに、愛する人の腕の中で乱れていた。

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