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第96話

発情期を迎えて5日目のことだった。 「パパはなんで夜になるとママを泣かせてるの?ぼくがトイレに起きた時、ママ泣いてた……」 ――泣いてた訳じゃないんだけど……まぁ、ある意味涙は出てたけど…… まもなく3歳になる子供になんと説明すれば良いのやら…… 「ママを泣かせてはいないよ?ママをくすぐってただけなんだよ?」 ――まぁ、確かに擽られてるようなところもあるけど……セックスしてました、とは言えないよな……ましてや子作りしてた、とも言えない。 「ぼくがくすぐってもママは泣いちゃうの?」 「どうかな……パパはママの弱い所を知ってるから出来るけど、浬にはまだ、難しいかな」 「え〜?!それずるいよ。ぼくにも教えてよ」 冗談じゃない。いくらαといったって、自分の息子と近親相姦するつもりはないぞ……? 「浬がもっと大きくなってからな。16歳くらいになったら色々と教えてやるよ」 と今度は樹がニヤニヤしている。教えなくていいから!!と叫びたいのを堪える。これは、浬には昼寝も我慢させないとダメか……?と思いながらも、昼過ぎにはウトウトし始める。少し短めに昼寝は切り上げた方が良さそうだ。 「あのさ、相談があるんだけど……」 浬がスヤスヤ眠ったところで話を切り出した。 「子供が増えたらこの部屋も手狭になってくると思うんだけど、樹はどう思う?」 「そうだなぁ……元々はオレが単身で住む用に借りた部屋だからなぁ……部屋数は増やした方がいいかもしれないな。いっその事、建てるか?」 「そこまではしなくていいと思うけど……」 「仕事部屋だって欲しいだろ?今はリビングで仕事をしてるんだから、大きくなれば子供たちだって騒がしくなるし資料の片付けだって大変だろ?ただでさえ資料置き場と浬の部屋が一緒くたになってる状態なんだから」 「……まぁ、そうだけど……目の届く場所にいてくれるのは助かるよ?子供は何するか分からないからね」 「長い目で見れば子供だって成長する訳だし、良いんじゃないか?家族も増えることだし」 土地代だけだって億単位のお金がかかることになるだろう。いくら互いの収入が良くても、今だけで考えるのは危険な気がしたが、この男の人気は衰えない、それだけは言えた。 だからその賭けに乗ってみるのも悪くないかもしれない。けれど、希望するような土地が見つかるのだろうか? 「土地がなければ、マンションをぶち抜きで買えばいい。これから建てるところなら、多少のわがままもきくだろ。ウチの不動産部の物件で探してはみるけど、もし土地か見つからなければマンションな。それよりも今はその美味しそうな匂いにノックダウンされそうなんだけど?」 「寝室のドアはちゃんと閉めようね。それだけは反省したよ。浬があんなことを言い出すとは思わなかった。」 「その事なんだけど、浬はいくら雅がママだからってママっ子過ぎないか?成長が怖いんだが?」 「まだ、あの子の世界には僕しかいないんだろうね、パパはほら、同じαだからΩが珍しいんじゃないかな?僕だって息子に襲われるなんて事態は絶対に避けたいからね?」 「……早く夜になって、たくさん雅を味わいたい……ほら、舌を出して?」 目の前に歩いてきた樹の言うがままに彼を見上げ舌を伸ばす。舌を絡ませながら深いキスをすると、ますます発情の匂いが強くなってしまうから、その匂いで浬が目を覚まさないか心配になってくる。あまりにもそのキスが気持ち良すぎて早く昼寝から起こしたいのか、寝かせておきたいのかわからない状態だけど、毎晩、遅くまで喘いでいるから頭が働かない。はっきりいって毎日寝不足だ。今回は薬を飲んでない。だから発情している状態が続いているのもあり、仕事のことは放置して、浬の世話と子作り、というよりも、樹との気持ちがいいセックスに溺れることしか頭にはなかった。

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